2016 Fiscal Year Research-status Report
mTOR阻害薬による川崎病患者血清特異的物質の炎症惹起作用抑制の検討
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16K10069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西尾 壽乘 九州大学, 大学病院, 助教 (00507783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 珠美 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (60423547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 川崎病 |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病の原因は未だ不明ではあるが、川崎病の疫学的特徴である季節性・地域性に関する研究では、それを証明する川崎病特異的物質を見いだすことができている。現在、川崎病特異的物質の同定中である。 そのため、本研究では川崎病類似Nod1リガンド誘発冠動脈炎モデルを使ったmTOR阻害薬による炎症惹起作用抑制についての研究を中心に行った。FK565(Nod1 ligand)を川崎病特異的物質と想定し、mTOR阻害薬であるテムシロリムスを投与したところ冠動脈炎は抑制された。mTOR阻害薬はオートファジー亢進機能があるため、そのオートファジー抑制機能があるバフィロマイシンを投与したところ、十分な血管炎増悪効果が得られなかった。mTOR阻害薬による冠動脈炎改善はオートファジー以外の効果による可能性があると考えられた。 そこで、ヒト冠動脈炎内皮細胞(HCAEC)を用いて、mTOR阻害薬による作用機序を遺伝子発現にて解析を行うこととした。FK565でHCAECを刺激したあとHCAECを回収し、マイクロアレイ解析を行い、pathway解析を行ったところ、mTOR阻害薬の作用である細胞周期に関する遺伝子は影響を受けていたものの、炎症性サイトカイン・ケモカインについては大きな変動を認めなかった。以上より、mTOR阻害薬の冠動脈炎作用は血管内皮に対する直接作用ではないと考えられた。 冠動脈炎発症に血管内皮だけでなく、そこに遊走するマクロファージが大きな役割を果たしていると考えられているため、現在、mTOR阻害薬のマクロファージに対する反応について研究を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
川崎病特異的物質は同定されていないため、同定されたときに速やかに実験が進められるよう、代替物質を用いて冠動脈炎発症機序解析を行い、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
mTOR阻害薬のマクロファージに対する炎症抑制作用機序を継続して行っていく。 川崎病特異的物質の同定が出来た場合には、それを用いて、マクロファージに対する作用について解析を行い、冠動脈炎発症機序を解明していく。
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Causes of Carryover |
予想より容易に動物実験で結果が得られたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
川崎病特異的物質の同定が出来たときに、再び動物実験を行うために使用する。
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