2017 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧モデルにおける右心機能および心室間相互作用に対する心拍数抑制効果の検討
Project/Area Number |
16K10071
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
奥村 謙一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10349699)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 心拍抑制 / 心筋線維化 / 右室心機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧(Pulmonary arterial hypertension: PAH)において高い後負荷(肺動脈圧)にさらされる右室機能は予後に大きく関わるが、右心不全に対する治療方法は未だに確立されていない。近年、慢性心不全に対して、選択的Ifチャンネル阻害剤イバブラジ ンが注目されている。心拍数抑制がPAH患者の予後を改善させうるかどうかは十分に検討されていない。今回我々はPAHモデルラットを用いて、イバブラジンによる心拍数抑制が右心不全および心室間相互作用に対してどのような治療効果を与えるかを検討している。 肺高血圧モデルラット作成 蛇毒であるモノクロタリンはラットに皮下注射することによりPAHは引き起こすことを確認した。注射後3週頃よりラットの肺動脈圧が上昇し、5週頃にPAHに伴う心不全死を起こすことを確認した。6週齢雄性Sprague-Dawley ラットにモノクロタリン(60mg/kg)を皮下注する日を実験0日とし、実験14日目より、モノクロタリン投与群(PAH)を2群に分け、イバブラジンを経口投与する治療群と、投与しないPAH群の2群を作成した。現在、実験28日目に、生存していた3群のラットに対して、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査を行い、右心機能および左心機能評価を行った。イバブラジン投与により、生存率は有意に改善し、右室心機能も改善していた。心筋内の蛋白質解析にて、TGF-beta, CTGFの発現は有意に抑制され、心筋線維化面積は減少し、心筋肥大も改善傾向を示した。今後は、さらなる詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、研究助手の確保、研究時間の確保に手間取っており、動物実験が進行が遅れております。
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Strategy for Future Research Activity |
モノクロタリンによる肺動脈性高血圧モデルにおけるイバブラジンの心拍抑制は右室心機能を改善し、右室心筋線維化を抑制する傾向にあることを確認した。また、その右室心筋線維化に関わる蛋白としてTGF-betaおよびCTGFが関与しておることを確認した。 今後は、さらなる詳細な蛋白発現の確認と低酸素性肺高血圧モデルにおけるイバブラジンの投与効果を確認する。
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Causes of Carryover |
現在、研究進行が遅延し、研究に実際使用した金額が予定金額を下回っていたため、次年度使用金額が生じた。 平成30年度に更なる動物を購入し、過去2年間に得られたデータを詳細に解明する予定である。具体的には、右室心筋線維化におけるTGF-betaおよびCTGFの下流にある蛋白発現がイバブラジンによってどのように変化したかを検討する。
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