2018 Fiscal Year Research-status Report
小児炎症性腸疾患におけるガレクチン9の免疫調節機能とその治療戦略
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16K10075
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
工藤 孝広 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90365601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / ガレクチン9 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は、腸管に慢性炎症をきたし再燃寛解を繰り返す消化管疾患である。近年、本邦での患者数は小児期発症を含め増加している。小児期のIBDは病変部位が広範囲であること、重症度が高いことが特徴とされる。炎症性腸疾患発症の病態に関する研究では、獲得免疫や自然免疫、遺伝的背景との関連が報告されている。一方、ガレクチンは自然免疫と獲得免疫の両者に関与していることが多数報告されており、免疫学的検討が進んでいる分野である。その中でガレクチン9は炎症調節作用があることが解明されつつあり、自己免疫疾患への治療効果も期待されている。今回、ガレクチン9に注目して小児炎症性腸疾患における免疫調節作用の解析を行うことで、IBD治療の選択肢の1つとなりえるか検討する。 現在までに倫理委員会からの承認を得て、検体採取・保存、細胞培養、リアルタイムPCR、ELISAを実施している。検体は潰瘍性大腸炎、クローン病、正常対照群の3群で採取しているため、すべての検体の解析が終了したら統計学的な有意差を確認する予定であるが検体数が予定より伸びていない。今後、検体数を増やし検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体採取・保存、解析(細胞培養、realtime PCR、ELISA)は実施できているが、検体数が不足しており統計学的な検討に至っていない。検体数を増やしていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
検体採取・保存、解析の数をさらに進めていく。研究のご協力いただける患者様のリクルートを積極的に行っていく。そして統計学的検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究に参加していただける患者様のリクルートが少なかったため、積極的にリクルートを行う。検体採取・保存をできているものの解析を進める。 実際の研究計画は、粘膜組織におけるガレクチン9、TIM-3の蛋白発現を確認するために免疫染色を施行する。また、検体からコラゲナーゼや単核球分離法などを用いて単核球を分離する。分離した単核球を1×106個/1mlずつ細胞培養プレートのwellに無添加、100ng/mlのガレクチン9添加、10μg/mlの抗ガレクチン9抗体添加、陽性対照として50ng/mlのPHA添加の4条件に分け、細胞培養プレートを用いて48時間、37℃で細胞培養を行う。検体から単核球分離を行い、ガレクチン9による刺激/阻害を行い、48時間細胞培養する。培養上清を採取し、各条件の上清中の各種サイトカイン(IL-6、IFNγ、TNF-α、IL-17、IL-10、TGF-β)濃度をELISAにて測定する。また、培養血球からRNA、cDNAを抽出し、サイトカインの転写因子としてTh1細胞はT-bet、Th17細胞はRORγt、調節性T細胞はFoxp3などのシグナル分子の発現をreal-time PCRを用いて各条件で解析する。
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