2019 Fiscal Year Annual Research Report
Galectin-9 in Intestinal Mucosa of Pediatric Inflammatory Bowel Disease.
Project/Area Number |
16K10075
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
工藤 孝広 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90365601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は、再燃寛解を繰り返す慢性炎症性消化管疾患である。近年、本邦での患者数は小児期発症を含め増加している。小児炎症性腸疾患は病変部位が広範囲であること、重症度が高いことが特徴とされている。炎症性腸疾患発症の病態に関する研究では、獲得免疫や自然免疫、遺伝的背景との関連が報告されている。一方、ガレクチン9は炎症調節作用があることが解明されつつあり、自己免疫疾患への治療効果も期待されている。小児炎症性腸疾患のガレクチン9における免疫調節作用の解析を行った。 対象は初発炎症性腸疾患患児22例(Crohn病:CD 10例、潰瘍性大腸炎:UC 12例)と正常対照延べ24例。下部消化管内視鏡検査中に、CDでは回腸末端、UCではS状結腸、正常対照では両部位の粘膜を生検採取した。粘膜からcDNAを抽出し、real time-PCRにて、ガレクチン9、GAPDHの発現を比較検討した。ガレクチン9の発現は、正常対照群と比較してCDにおいて有意に高値を示した(p=0.0096)が、UCにおいて有意差はなかった(p=0.244)。免疫誌組織染色では、ガレクチン9陽性細胞はCDにおいて粘膜下層に多く存在し、UCと正常対照群では多くなかった。ガレクチン9と結合するTim3については、CD、UC、正常対照群と比較し差は認めなかった。ガレクチン9は、Tim3を介して過剰なTh1細胞や好酸球を抑制しており、炎症抑制に関わる蛋白であることが報告されている。CDの回腸末端粘膜においてガレクチン9の発現が有意に高値であり、炎症が惹起されている局所粘膜においてガレクチン9がさらなる炎症の波及を抑制している可能性が考えられ、ガレクチン9がCDの活動性を抑制することにより、CDの病態に関与している可能性が示唆された。 単核球細胞培養については実施しているものの良好な結果は出なかった。
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