2016 Fiscal Year Research-status Report
小児重症心不全に対する細胞シート移植による再生環境細胞治療の確立
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16K10076
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関根 佳織 東海大学, 医学部, 講師 (70408011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 治史 東海大学, 医学部, 准教授 (50278496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医療 / 心不全 / 血管内皮前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心臓組織再構築における血管形成の問題を解決する為に、血管内皮前駆細胞を含む細胞環境調節細胞群のシート移植を行い、重症心不全への治療法を確立することである。実験モデルとしてLewisラット重症心筋炎後の心不全モデルを作製し、同時に末梢血単核球を無血清培地生体外増幅法(quantity and quality control culture; QQ method)にて培養する(細胞環境調節細胞群:QQ細胞)。更に、線維芽細胞と共培養し、細胞シートを作製、移植による有効性(血管構築)を検討する。 現時点でQQ培養はヒト・マウスのみ確立している。本年度は、まずラットにおけるQQ培養の確立を目指した。ラット単核球をQQ培養し、フローサイトメトリーとリアルタイムPCRを用いてその有効性を検討した。その結果、1.血管再生を促すCD34陽性かつKDR陽性細胞が増加した。2.抗炎症性M2型マクロファージのパラメーター(CD206陽性かつCD68陽性細胞)が顕著に増加した。3.制御性Tリンパ球サブセットの上昇(CD3陽性、CD4陽性かつCD25陽性)を認めた。以上の結果より、抗炎症・抗線維化作用、および免疫寛容作用による心筋線維化抑制と心機能の改善・左室リモデリング抑制効果が期待される。 次に、心不全ラット(Lewis)への細胞シート移植実験を検討した。心不全ラット(Lewis)にGFP-Tg SDラット由来のシートを移植したが、拒絶反応が強く死亡率8割であった。その為、LewisラットQQ細胞を静脈投与し(Lewis→Lewis)、その効果を検討した。左室圧容積評価による心機能解析では、コントロール群と比較し、左室コンプライアンス・駆出率が良好で、拡張末期圧も低い傾向であったが、有意差は認めなかった。血液中のサイトカイン(IL-10)はQQ細胞投与後に高い傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異種由来の細胞シートに対する拒絶反応が予想以上に強く、モデルラットの死亡率が高率であった。そのため、本年度は、同種で静脈投与による細胞移植効果の検討を行った為ことから、本来の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットQQ培養法の確立について、フローサイトメトリー解析により、血管再生、抗炎症・抗線維化作用、免疫寛容作用などの特徴をもつ可能性が示された。今後、ヒト・マウス同様にリアルタイムPCR法を用いて、その特性をさらに明らかにしていく。 また、細胞環境調整細胞群の静脈投与に関して、現在、血管形成に関する組織評価・線維化抑制効果の有無や及びRT-PCR解析を進めており、静脈投与の有効性について検討していく。さらに、Lewisラット細胞環境調整細胞群およびfibroblastsを用いて細胞シートを作製し(同種移植)、その効果について検討していく。
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Causes of Carryover |
細胞シート移植実験が予定通りに進行せず、静脈投与実験を先行したため、使用動物数、消耗品の差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は細胞シート移植を検討する。
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