2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K10080
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20246523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 見春 日本医科大学, 医学部, 助教 (60350112)
星野 レイ 日本医科大学, 医学部, 助教 (20637821) [Withdrawn]
上田 美希 日本医科大学, 医学部, 助教 (20741010) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | iPS / 遺伝性心筋症 / 心筋細胞 / パッチクランプ / 電気生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの遺伝性心筋症についての研究、特に細胞レベルから見た機能解析の研究はヒトの細胞のみならず実験動物を用いた研究も含め行われていない。心筋症は責任遺伝子が異なっても最終的には共通の経路の障害となり、発症すると考えられている。イオンチャネルであったり、細胞膜であったり、サルコメアであったりする。本研究細胞は内構造物を直接調べる研究ではなくイオンチャネル電流を主体とした生理学的解析を主眼としたものであるが、細胞内構造物は様々に影響しあい細胞膜イオンチャネルへ影響を及ぼすため、有意な検査結果が出ることが期待される。本研究では東京女子医科大学が有するヒトの各種心疾患4200細胞株のうち、遺伝性心筋症患者の株からiPS細胞由来心筋細胞を作製し、作製した細胞の電気生理学的特性の解析を行なうことを目的とした研究である。研究は大きく2分野に分けられる。研究課題1は遺伝性心筋症患者の株からiPS由来心筋細胞の作成することと、研究課題2はそれを用いた電気静学的機能解析である。研究課題1の対象とする遺伝性心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性右室心筋症、左室緻密化障害)からiPS細胞由来心筋細胞の作製を目指す。研究課題2として、活動電位の測定(ヒト正常iPS細胞由来心筋細胞との遺伝性心筋症疾患の比較)、Ca電流の測定(ピーク電流値、活性化曲線、不活性化曲線、ベータ刺激薬への反応評価)、ATP感受性K電流の測定(ピーク電流値)、Na-Ca交換輸送電流の測定(ピーク電流値の測定)を行い、これらのデータを総合的に判断して個々のヒト遺伝性心筋症心筋細胞の機能解析を行なう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度では研究課題1を中心に、一部研究課題2についても研究を進めた。まず、研究課題1すなわち「遺伝性心筋症患者の株からiPS由来心筋細胞の作成すること」である。以下の手順で健常者からヒトiPS細胞由来心筋細胞の作製を行った。1.ヒトiPS細胞の調製、2.iPS細胞の多分化能の検定法、3.iPS細胞の染色体や疾患遺伝子変異についての検討、4.ヒトiPS細胞からの心筋細胞の分化誘導法このようにして自発的に拍動する心筋塊を得る。得られた心筋塊を酵素処理により単一の心筋細胞を作製し電気生理学的実験などに用いた。 当初の予定では遺伝性心筋症患者のiPS細胞から心筋細胞を作製する予定であったが、平成28年度の段階では健常者からの心筋細胞の作製までに留まっており、研究の推進が遅れている。しかしながら、健常者からのiPS細胞由来心筋細胞ではあるが、電気生理学的には作製されたiPS由来心筋細胞からL型Ca2+電流を測定できている。遺伝性心筋症患者由来の心筋細胞の作成が滞ってしまった理由としては、他の遺伝性不整脈患者のiPS由来心筋細胞の作製に追われてしまってことと理解している。今後平成29年度に向けて遺伝性心筋症患者由来の心筋細胞を作製し研究を進めていきたい。研究成果の一部を第52回日本小児循環器学会学術集会で報告した(平成28年7月7日:勝部康弘、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の電気生理学的解析)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は遺伝性心筋症患者からのiPS由来心筋細胞の作製まで手が回らず研究が遅れてしまったが、平成29年度では遺伝性心筋症患者のiPS由来心筋細胞の作製を第一に考え取り組み研究を加速したい。研究の推進方策自体に変更はない。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」ならびに「今後の研究の推進方策」で述べたように、平成28年度では遺伝性心筋症患者からのiPS細胞作製が計画通りに進まず、iPS細胞作製・維持管理に要する予算に余剰が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においては遺伝性心筋症患者iPS細胞由来心筋細胞の作製を加速度をもっておこない、研究課題遂行に努める。 特にiPS細胞の作製・維持管理には多額の研究費が必要であり、平成28年度繰り越し予算はこれらに使用する。
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Research Products
(1 results)