2017 Fiscal Year Research-status Report
周産期低酸素虚血性白質障害での稀突起膠細胞分化抑制機構の解析
Project/Area Number |
16K10100
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三角 吉代 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70529148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00305525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低酸素虚血性白質障害 / オリゴデンドロサイト / インスリン様成長因子2型 / in vitro |
Outline of Annual Research Achievements |
周産期低酸素虚血性白質障害(PWMI)の脳内に発現増加する2型インスリン様成長因子(IGF-2)とその受容体は、白質においてオリゴデンドロサイト(OLG)とアストロサイトに発現増加するのに対しミクログリアや神経細胞には発現せず、皮質内と異なる作用メカニズムが存在することが明らかになってきた。 H29年度は、培養OLGに対するIGF-2の生理作用をin vitroで明らかにすることを中心に実施した。その結果、IGF-2がOLGの分化促進することが明らかになった。すなわち、混合グリア培養から得たオリゴデンドロサイト前駆細胞をFGF-2,PDGFにて増殖させ、CNTFおよびT3存在下で分化由誘導させる培養過程に、IGF-2を培養したOLG前駆細胞(OPC)に投与すると、NG2陽性の未熟OLGが減少するに対しCNPase陽性の成熟OLGが増加することが明らかになった。またこの作用は、CNTFおよびT3の非存在下のIGF-2単独投与でも同様な作用が認められることが明らかになってきた。 IGF-2がOPCに作用しその分化を誘導させることが示されたが、OPC分化抑制傾向を示す低酸素虚血性白質障害後の脳内で発現増加するIGF-2が、代償的に分化を促進させる作用があることが考えられる。そのため、in vivoにおけるIGF-2の作用が非常に興味深く、今後移植されたOPCに対する作用を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低酸素虚血脳内で特異的に発現増加が誘導される因子のIGF-2に注目し、PWMI脳内でのOLG分化抑制メカニズムを解明し、さらに細胞移植後の脳内でのOLG成熟促進につなげることを目指している。 H29年度はPWMI脳内で発現増加するIGF-2の生理作用をin vitro実験から解析を進めたが、in vivoにおける細胞移植後の作用については十分に実施できておらず、予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
IGF-2がOLG分化段階に作用することをin vitroで証明したので、OLGの細胞移植時に作用させることによりin vivoでの作用を検討していく。一方、白質内と皮質内における作用の相違が明らかになってので、in vivoにおけるアストロサイト、OLG、ミクログリア、神経細胞との相互作用も念頭に入れ、IGF-2の作用解析を探求していく。これによりPWMIへの細胞療法の確立につなげていく。
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Causes of Carryover |
無駄な経費の節約を考えながら培養を中心に実施したこと、他研究費と共通で使用可能な消耗品が多くあったこと等から、当初の予定より経費使用が少なかった。 次年度に繰り越し、引き続き無駄な経費の節約を考えながin vivo実験を中心に実施する予定である。その過程でGFPラットの購入や必要な高価な抗体などを購入する必要が生じると考えられる。
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Research Products
(3 results)