2018 Fiscal Year Research-status Report
VWF/ADAMTS-13/FⅧ制御軸による極低出生体重児の脳室内出血の病態解明
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16K10103
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
西久保 敏也 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (20208169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 瑛里 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00645591)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | VWF / 極低出生体重児 / 臍帯静脈血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】脳内血管の疑似血管である臍帯静脈血管内皮細胞(Human Umbilical Vein Endothelial Cell:HUVEC)の酸化ストレス(H2O2)に対する血液凝固・線溶因子への影響を、リアルタイムPCR法で検討した。 【方法】成熟新生児の残存臍帯を用いて、臍静脈内をPBSで洗浄後、1000PU/mlのDispase注入し、37℃で10分間インキュベーションした。剥離したHUVECをPBSで遠心・洗浄しHUVEC浮遊液を作成し培養した。この細胞を用いて、H2O2による酸化ストレスの血液凝固・線溶因子のRNA発現に及ぼす影響についてリアルタイムPCR法を用いて検討した。併せて炎症性サイトカインの発現についても検討した。 【結果】①H2O2濃度の影響 終濃度100~400μMのH2O2とHUVECを37℃、6~16時間培養したところ、400μMのH2O2濃度では、多くのHUVECがシャーレから剥離・浮遊した。残存HUVECを用いて、組織因子(TF)のmRNA発現量を検討した所、200μM H2O2で最も発現量が多かった。そのため、以後の検討は、200μMのH2O2濃度で施行した。②H2O2刺激による血液凝固・線溶因子(VWF, ADAMTS13,TF,Protein C、Protein S、TM、FⅧ、PAI-1、tPA、TNF-α、IL-1β、IL-6)の遺伝子発現を検討した。VWFの発現は有意に低下した。一方、TF、ADAMTS13、PAI-1、tPA、IL-6は有意に発現量が増加していた。 【考察】酸化ストレスに対して、VWF以外の凝固線溶因子の発現増加を認めた。今後は、低出生体重児の臍帯について同様の検討を行い、極低出生体重児のIVH発症機序を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、3年間の研究計画期間であったが、4年間に延長申請が必要であった。 理由として、①研究時間の確保が難しい、②極低出生体重児の血液検体の確保が困難であることが主たる原因であった。 ②については、臍帯血管を用いる研究内容の変更により、進捗可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
極低出生体重児由来のHUVECを用いた検討を行う。 酸化ストレスに加えて、Lipopolysaccharideなどを用いた細菌感染実験モデルにおける血液凝固・線溶因子の動態を検索することにより、極低出生体重児のIVH発症機序の解明に繋げる。
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しと予備実験に時間を要したため、次年度への繰越金が生じた。
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Research Products
(10 results)