2018 Fiscal Year Research-status Report
新生児医療からみる生殖補助医療が子どもに与える遺伝的影響
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16K10104
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
矢田 ゆかり 自治医科大学, 医学部, 准教授 (00296089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生殖補助医療 / 先天異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖補助医療技術(Assisted reproductive technology:以下ART)が新生児医療に及ぼす影響は全国規模では解析がなされていない。ARTからの出生児は30人に1人を占めているにもかかわらず、これら出生児の詳細な合併症や長期予後は把握されていない。わが国でもARTからの出生時は30人に1人を占めるようになった。この影響を知ることは、本邦の周産期医療を考えるうえで必須と考えられる。 またimprintingの関与する疾患が卵細胞内精子注入からの出生児に発症すること、さらに父の高齢化で染色体の微小変化が増加し自閉性障害の発症頻度を増加する可能性などが報告されている。このような染色体遺伝子変化がARTと関連するのか、ARTのどのような手法と関連があるのか、親の年齢と関連があるのかなどの解明も今後の本邦の周産期医療にとって重要な課題と考えられる。本研究では全国アンケート調査と自院出生児の症例解析を主軸としている。 平成30年度は、平成29年自院出生分のデータ(対象399名)を集積した。本研究では年間対象400名程度を予定しており、十分な症例数であると考えている。日本産婦人科学会による単一胚移植を推奨する見解および日本生殖医学会の多胎防止のための胚移植数ガイドラインが発表されて以降、自院においてもARTによる双胎数は減少していたが、平成29年度は双胎症例が入院例の28%と増加し、このうち6割がARTによる双胎児であった。双胎児では早産域での出生や低出生体重であることにより単胎児に比べて周産期の疾病罹患率や死亡率が高いことは周知であり、病床運用やマンパワーの点で周産期医療に深刻な影響を及ぼしていた。 全国の主要新生児医療機関へのアンケート調査に関しては、調査項目の選定、アンケート用紙作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アンケート調査および遺伝学的検索の遅れがある。 研究代表者の本来の業務繁忙および親の介護などのため、研究に十分に専心できず計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
自施設データの収集・解析は順調に進んでいる。 今後、他機関へのアンケート調査および遺伝学的検索を進めた上で、研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
データの集積と解析は研究責任者が単独で行っており、人件費・謝金が生じなかった。当該年度内に成果発表の機会がなく、旅費も生じなかった。 研究の進捗が遅れたため、次年度、成果発表のための旅費・論文英文校正のための出費を予定している。
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