2016 Fiscal Year Research-status Report
新生仔期高濃度酸素性肺傷害修復過程におけるHAPLN1の重要性
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16K10105
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
難波 文彦 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20643323)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高濃度酸素 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ / HAPLN1 / 肺胞化停止 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:未熟児では肺は未発達でありガス交換のための拡散能に限りがあるため酸素を必要とする。過剰な酸素は肺に対して毒性を示すことが知られており、肺の遺伝子発現に対する新生児期高濃度酸素の長期的影響について研究されつつある。今回われわれは遺伝子発現解析のためのマイクロアレイを用いて、高濃度酸素暴露新生仔マウス肺における新規バイオマーカーを探索することを目的とした。 方法:新生仔マウスを21%または95%酸素に4日間暴露し、その後3日間はルームエア下で回復させた。Affymetrix GeneChipを用いて肺内の遺伝子発現解析を行った。mRNA発現は定量リアルタイムPCRで定量化した。マウスの肺形態をHE染色で胎齢18.5と日齢4で評価した。 結果:肺胞化停止に代表される新生仔期高濃度酸素による肺形態の変化を認めた。日齢7に高濃度酸素暴露マウス肺とルームエア暴露マウス肺間に2倍以上遺伝子発現の異なる候補遺伝子のうちhyaluronan and proteoglycan link protein 1(HAPLN1)を同定した。HAPLN1欠損胎仔肺は野生型肺と比較して気道面積の減少を示し、生後すぐに死亡した。 結論:われわれは新生仔期高濃度酸素暴露からの回復と関連する分子としてHAPLN1を同定した。HAPLN1はおそらく発達過程にある肺の肺胞形態形成で重要な役割を果たす可能性がある。肺発達と肺機能の異常のもととなる機序とこの動物モデルにおけるHAPLN1の最終的な役割について今後明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、HAPLN1欠損マウスは生後早期に死亡するため、予定していた新生仔期に高濃度酸素暴露した新生仔肺の表現型解析ではなく、胎齢18.5の発達過程にある胎仔期マウス肺の表現型の解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
生後早期に死亡するHAPLN1欠損マウスの肺の表現型解析を引き続き行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
他の財団の研究費を優先的に使用したため次年度使用額が生じたが、研究計画はおおむね順調である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HAPLN1欠損マウス肺の表現型についてさらなる詳細な解析を加えるため、欠損マウス肺と野生型マウス肺の遺伝子発現解析をマイクロアレイを用いて行う予定である。それ以外は試薬等の消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)