2016 Fiscal Year Research-status Report
胎児と内分泌因子が関与する妊娠維持・分娩発来機構の解明
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16K10110
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三塚 加奈子 東海大学, 医学部, 助教 (00514639)
東郷 敦子 東海大学, 医学部, 講師 (20408024)
宮澤 昌樹 東海大学, 医学部, 特定研究員 (30624572)
菅野 秀俊 東海大学, 医学部, 助教 (90631804) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊娠維持機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は胎児と内分泌因子が関与する妊娠維持・分娩発来機構の解明である。平成 28 年度は、まず羊膜におけるプロゲステロン(P4)の受容体やP4代謝・産生系因子の発現プロファイル・局在の検討をおこなった。羊膜のmRNA発現をみると、P4の核型受容体であるPGRの発現レベルは極めて低く、これはPGR蛋白陰性であった免疫組織染色の結果と合致した。この点に関して、羊膜から単離した上皮細胞(EPCAM陽性)と間質細胞(EPCAM陰性、Vimentin陽性)との間で差異はなかった。一方、P4の膜性受容体であるPGRMC1 (progesterone receptor membrane component 1)については、羊膜でmRNA発現レベルが高く、これは既報の免疫組織染色の結果と合致し、こちらもPGRと同様に上皮細胞、間質細胞間で発現レベルに差異は認めなかった。P4代謝・産生系因子のmRNA発現に関しては、P4の代謝に関わるSRD5A1(steroid-5-alpha-reductase, alpha polypeptide 1)やAKR1C1~C3(aldo-keto reductase family 1; member C1,C2,およびC3)の羊膜上皮細胞発現レベルは低かった。またP4の局所生成に関わる酵素であるHSD17B2 のmRNA発現レベルは非常に低かった。しかし間質細胞においては、HSD17B2は特徴的な高発現を示し、これは上皮細胞と比較し300倍以上の発現レベルであった。今後蛋白レベルでの検討を要するものの、上記の結果は、P4がPGR受容体発現のない羊膜においても膜性受容体などを通じて作用を及ぼしている可能性、また羊膜局所でP4濃度維持機構が存在する可能性を示唆するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常妊婦検体は順調に得られつつあるが、各種病態における検体が、まだ十分に得られていないため
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Strategy for Future Research Activity |
羊膜上皮細胞や間質細胞の培養法など、実験手法はほぼ確立してきており、今後は各種病態から得られる検体数を増やしていくことに注力する。またもう一方の研究対象であるヒト胎児副腎細胞のモデル細胞のNCI-H295A細胞についても網羅的解析や遺伝子サイレンシング実験を進めつつあり、これらの結果を踏まえて検討候補遺伝子やその産物を抽出し、研究計画に対して適切なmodificationを加えながら機能解析等の検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究を遂行するために必要な試薬の新規購入が安価なものですんだこと、また次年度に解析予定の因子に関連した実験に必要な試薬などについて、購入前に慎重に吟味する手順を踏んだことで、結果的に残金が発生し、次年度使用額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、研究の進展に伴い新たな因子に対する検討や各種のassayのために必要な比較的高額な試薬などの購入を予定している。また国内外の研究成果の発表に要する費用も支払う予定としており、繰り越し金と本来の次年度分と合わせた金額の支出を、無駄のないよう効率的に実施する予定である。
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