2016 Fiscal Year Research-status Report
先天性CMV感染症における神経学的合併症の制御に向けた標的分子探索
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16K10118
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中村 浩幸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 室長 (70256866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サイトメガロウイルス / SLITRK6 / 神経学的合併症 / 先天性CMV感染症 / 難聴 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性サイトメガロウイルス (CMV)感染は、精神発達遅滞、てんかん、小頭症、感音性難聴などの神経学的合併症を引き起こす場合がある。 神経系細胞に対してCMV感染がおよぼす影響を明らかにする目的で、平成28年度はヒト神経系培養細胞に対して実験的にCMVを感染させ、細胞遺伝子発現がCMV感染前後でどのように変動するか解析を進めた。ヒト神経系培養細胞として、iPS細胞由来神経幹・前駆細胞および複数の神経系腫瘍由来細胞株を用いた。 その結果、遺伝性難聴の原因遺伝子として知られるSLITRK6をはじめ、神経系や聴覚の形成・機能に関与すると思われる複数の細胞遺伝子の発現がCMV感染にともなって著しく変動することを見出した。 次に、見出した細胞遺伝子発現変動が神経系細胞機能にどのような影響を及ぼすか明らかにする目的で、発現プラスミドを用いた強制発現系あるいはshRNAを用いた発現抑制系を神経系細胞株へ導入し解析を開始した。 これらの成果は、CMVによる神経学的合併症の発症メカニズムの解明とその制御に向けた標的分子の同定につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先天性CMV感染症における神経学的障害の発症メカニズムを解明する目的で、CMV感染前後で発現変動する細胞遺伝子を解析した結果、神経系や聴覚の形成・機能に関わると思われる複数の細胞遺伝子が発現変動していることを見出し、それら細胞遺伝子発現変動の意義について解析を開始したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、当初の計画に挙げていた通り、shRNAライブラリーを活用しながら、CMV感染にともなう神経障害発症に関連する細胞遺伝子産物の探索研究を開始する予定である。 また、平成28年度に見出した細胞遺伝子の発現変動について、神経系細胞の機能にどのような影響があるかについても解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初、平成28年度内に購入を予定していた物品について、年度内に購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度はshRNAライブラリーを活用した実験の実施に係る費用として、細胞培養関連試薬・消耗品および生化学的実験に使用する物品などの購入、ならびに情報収集や学会発表に要する費用として研究費を使用する予定である。
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