2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K10129
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇谷 厚志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (10292707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 佑美 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10770399)
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Project Period (FY) |
2016
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Keywords | 細胞外マトリックス / 創傷治癒 / リモデリング / 幹細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、好発部位以外に発症したケロイドならびにピアスケロイドを研究対象から除き、病変部位と、それに近接する正常皮膚(scar)の両方を採取できた場合のみを研究材料とし、最終的に5例のサンプルを用いた。まずケロイド病変組織を用いたRNA採取を行った後、マイクロアレイ解析とパスウェイ解析を行い、次に発現分子の免疫染色を行った。 マイクロアレイ解析で正常組織(CON)と病変組織(KL)を比較したところ、KLのみで2倍増加している分子が300個、4倍に絞ると40個あり、このうち約25%がマトリックス関連分子だった。興味深いことに約10%の中に神経、筋肉、骨に関連した分子が含まれていた。これら分子のうち、特に発現が高いFN1、WNT2、SOX2、MDFIを発生病理に関連した候補分子と定め、それぞれの免疫染色にて、その発現・局在を検討した。サンプルはKL、scar、CONと、それぞれの組織から得られた培養線維芽細胞を用いた。その結果、組織染色ではFN1とWNT2がKL++、scar+、CON-とケロイド病変で高い発現を認め、SOX2とMDFIがKL+、scar-、CON-と、ケロイド病変のみにおいて発現していた。培養線維芽細胞染色では全てのサンプルにおいて同等の染色性が見られた。 このことから、ケロイド病変は中胚葉や外胚葉への多能性を有している細胞により構成されていると考えられた。また、これらの分子は培養線維芽細胞では全く異なる発現性を示しており、生体での病態を正確に反映していない可能性があるため、サンプルとしては適切ではないことが示唆された。 今回、ケロイドの増殖間葉系細胞における強発現分子に着目した我々の研究データを通じて、ケロイドの本態は、従来の疾患概念とは異なり、何らかの契機で多分化能を有した細胞が長期間に渡って緩徐に増殖する腫瘍性疾患であると考えられた。
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Research Products
(3 results)