2016 Fiscal Year Research-status Report
汗腺機能障害からみた分子標的薬による皮膚障害の病態解析と新規治療法の開発
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16K10140
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
西澤 綾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院 皮膚科, 講師 (30431456)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マルチキナーゼ阻害剤 / 手足症候群 / 塩化アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬のなかで、手足症候群が高頻度に発現するものとしてマルチキナーゼ阻害剤やある。マルチキナーゼ阻害剤は各種あるが、阻害するレセプターの違いにより手足症候群の発現頻度、重症度も変わってくる。今回は多種あるマルチキナーゼ阻害剤の中で、高頻度に手足症候群が出現するレゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)およびレンバチニブ(商品名:レンビマ)にてに塩化アルミニウムによる手足症候群発現抑制効果が期待できるかを検討することとした。対象症例としては、レゴラフェニブ症例1例、ネクサバール症例2例、レンビマ症例1例の、計3例で行った。 ①レンバチニブの1例、ネクサバールの1例では手足症候群発現後の皮膚症状改善後に使用開始し、手足症候群の再発の有無を確認し、 ②ネクサバール症例1例、レンバチニブ1例で投与前から塩化アルミニウムを外用し手足症候群の発現が抑えられるか確認した。 ①、②いずれも塩化アルミニウム外用後手足症候群は忍容性のあるGrade 2であり、塩化アルミニウムの副作用としては掻痒、湿疹がみられたがいずれも軽症でステロイドの外用にてすみやかに軽快した。 さらに、手足症候群が出現した症例では被覆材の処置を施行し、休薬をせずに治療が可能かについての検討も行った。手足症候群の出現した3例においてはいずでも休薬、減量なく治療継続が可能であり、被覆材による手足症候群の予防は有効と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塩化アルミニウムは多汗症治療薬として一般的に皮膚科で用いられているが、保険適応薬剤ではなく、処置薬となり、院内製剤となっている。そのため、本試験を進める前に安全性を確かめる必要はあり、今回使用した4症例はいずれも塩化アルミニウムによる副作用の確認を少数例ながら確認することができた。さらなる症例数を増やしてのパイロット的な試験が来年度必要となってくるため準備段階としてはまず確認ができたと思われる。 今回使用した塩化アルミニウムであるが、手足症候群自体が皮膚乾燥、過角化を呈するため、通常は液体の塩化アルミニウム液を使用するが、今後は乾燥を防ぎ、刺激感を防ぐ目的で塩化アルミニウムの軟膏作成を考案中であり、現在薬剤部とともに、海外では市販化されている塩化アルミニウムクリーム製剤の成分配合を参考に作成を試みており、試作品作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はレンバチニブ、レゴラフェニブの2剤において、非ランダム化試験を計画しており、現在はその試験実現にむけてプロトコールの作成中である。 症例の見込みとしては ①レンバチニブ 40例 2年間 観察期間 8週間 ②レゴラフェニブ 30例 1年間 観察期間 12週間 で計画しており、施設としては防衛医大、国立がんセンター東病院頭頸部内科、国立がんセンター東病院消化管内科、伊藤病院(甲状腺専門病院)での他施設での臨床研究を考えており、現在各施設での倫理委員会のための準備およびデータセンターとの調整をすすめている。
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Causes of Carryover |
今年度はパイロット的な試験と塩化アルミニウム軟膏試作品作成のみで実際の臨床試験までは行っておらずプロトコールのみとなっている、。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に実際の臨床試験を行う予定であり、データセンター費用、各施設へのデータ整理費用、外用剤試作費用などに持ち越す予定である。
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