2017 Fiscal Year Research-status Report
二次性原発性メラノーマのダーモスコピー所見と遺伝子解析
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16K10144
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
外川 八英 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (90361427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二次性原発性メラノーマ / ダーモスコピー / V600E遺伝子 / ドライバー遺伝子 / BRAF阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次性原発性メラノーマのダーモスコピー所見と遺伝子解析を行うために、切除不能なBRAFV600変異を伴うメラノーマの症例に対して、BRAF阻害剤投与開始に際して、治療前後の色素性母斑を臨床写真の撮影および高解像度のデジタルダーモスコピー撮影を1~2か月毎に行なった。ダーモスコピーの所見の評価としては、10所見(大きさ、色素沈着の強さ、限局した色調の変化、dotsの出現・消退、ネットワーク構造の変化、濃い色調の無構造領域の新生、表面の角化傾向、パターンの変化、病変の対称性、血管所見の変化)につき評価を行ない、増大傾向や明らかな所見の変化があれば、新たに原発性として生じた二次性原発性メラノーマ(second primary melanoma)を疑う病変として、変化のない色素性母斑をともに切除した。各組織をホルマリン固定を行い、HE染色と免疫染色(HMB45染色、Melan-A染色、S100染色、Mib-1染色など)を行い、メラノーマか否かの判定を行っている。メラノーマの診断に至る症例はまだないが、対象症例に関しては両者のV600E遺伝子の発現の有無の確認を確認する予定である。その後切除した両者および一次性原発性メラノーマはHE標本を参考に、未染色のパラフィン切片からレーザーマイクロダイジェクションを用いて、メラノーマの部位の遺伝子解析を行い、各々にみられる遺伝子異常を同定し、これらの遺伝子異常を比較し、二次性原発性メラノーマにおける新たなドライバー遺伝子発現の有無および、同遺伝子の機能解析を行ない新たな治療のターゲットとなりうるかを調べる予定ある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
V600E遺伝子変異を有し、分子標的薬治療の対象となるメラノーマは年に数例であり、かつ半年ほどでBRAF阻害剤が無効になる。その間に明らかに二次性原発性メラノーマを発症した症例はなかった。メラノーマのダーモスコピー診断についてはパターン分析を用いた場合、感度、特異度が83.7% and 83.4%と認識されているが、前年米国皮膚科学会でメラノーマにおける血管構造の違いをDermoscopic variation in the melanoma vasculature depends on the part of the bodyとして報告したが、それに関連してReview of vasculature visualized on dermoscopy. J Dermatol. 2017;44: 525-32およびDermoscopy for the Diagnosis of Melanoma: An Overview.Austin J Dermatolog. 2017, 4: 1076を論文報告した。またメラノーマとの鑑別を要する症例としてはDermoscopic features in fibroepithelioma of Pikus on the hand: A case report.Austin J Dermatolog. 2017, 4: 1076, Acral melanoma showing fibrillar pattern on dermoscopy.Austin J Dermatolog. 2017;4: 1076およびAtypical pseudonetwork in pigmented facial macules: a report of two cases. Austin J Dermatolog. 2017;4: 1077をそれぞれ報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
BRAF阻害剤による二次性原発性メラノーマの発生をスクリーニングするために、ダーモスコピー診断における感度や特異度の改善を求めて、今後も新たな診断アプローチおよびその構築をしていきたい。そのためには従来あるメラノーマを主にターゲットとする二段階診断法およびパターン分析の見直すのみならず、経時的に写真を比較できるような管理法やシステム開発も念頭において研究を進めたい。また経過観察中に変化のある病変については積極的に生検を行い、組織学的な診断を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
計画ではH29年度にメラノーマの新規ドライバー遺伝子を含めた遺伝子解析を行う予定であったが、必要症例数が集まらなかったため、検査に必要な試薬を含めた物品購入が計画よりも少なくなった。H30年度に、H29年度に行う予定であった検査を行うため、その検査に必要な物品購入のために使用する。
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