2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10153
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
藤本 徳毅 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50378460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 一誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20169163)
田中 俊宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50188314)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抑制性B細胞 / IL-10 / IL-35 |
Outline of Annual Research Achievements |
抑制性機能も持つサイトカインであるIL-10、IL-35を産生するヒト末梢血中のB細胞に関してサイトカインの細胞内染色によりフローサイトメトリーで検討した。CpG刺激においてIL-10産生B細胞を検出するには24時間程度を要するが、IL-35は5時間程度の短時間の刺激でも検出された。IL-35はIL-10よりも早期に誘導され、24時間の刺激では80-90%程度のB細胞がIL-35を産生することが分かった。CD9、CD27、CD86の発現が高いB細胞ほど高率にIL-35を産生することが判明したが、IL-35産生B細胞に特異的な細胞表面マーカーは見いだせなかった。マウスにおいて、TLR刺激によりIL-10産生B細胞を誘導する系で、IL-21と共培養すると数倍にIL-10産生B細胞が増加すると報告されているが、健常人ヒト末梢血においては、種々の刺激条件下でIL-21と共培養したが、IL-10、IL-35産生B細胞の有意な増加はみられなかった。IL-10産生B細胞と形質細胞様樹状細胞の関連が報告されているために、IFN-aの関与を検討した。ヒト末梢血をCpGで刺激する際に、IFN-aを添加するとIL-10、IL-35産生B細胞が増加するが、MACSで単離したヒトB細胞はCpG刺激でもほとんどIL-10、IL-35を産生せず、そこにIFN-aを添加してもIL-10、IL-35の産生は増加しなかった。IL-10、IL-35の末梢血中の濃度をELISAで検討したところ、水疱性類天疱瘡患者と健常人の比較では、IL-10、IL-35ともに有意な差はみられなかった。また、水疱性類天疱瘡との関与が近年指摘されているDPP4阻害薬との関連も検討したが、DPP4阻害薬と関連のある水疱性類天疱瘡と関連のない水疱性類天疱瘡でも、IL-10、IL-35の濃度に有意な差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-21の刺激により抑制性B細胞を増やして治療に用いることを検討していたが、ヒトにおいてはIL-21ではIL-10産生B細胞を著明に増加させることはできないことが判明したため。また、CD9に着目してB細胞の抑制性機能の検討を行っているが、CD9に特異的なサイトカイン産生などの現象が見いだせていないため。また、IgG抗マウス基底膜モノクローナル抗体は作製できているが、IgE抗マウス基底膜モノクローナル抗体の作製が遅れているため、IgGとIgEによる自己免疫性水疱症モデル動物における抑制性B細胞の関与がまだ検討できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
自己免疫性水疱症以外のヒトの疾患、具体的には筋炎、強皮症、脱毛症におけるIL-10、IL-35産生B細胞の検討を進めていく。 DPP4阻害薬と水疱性類天疱瘡との関連が近年注目されており、DPP4はCD26と同一分子でありCD26刺激でIL-10産生の増加がマウスでは報告されていることから、自己免疫性水疱症やその他のヒト自己免疫性皮膚疾患におけるCD26陽性細胞の関与を検討する。 自己免疫性モデルマウス(抗マウス基底膜モノクローナル抗体による水疱症モデルやTLR7アゴニストによるエリテマトーデス誘発モデルなど)における抑制性B細胞の関与の検討し、抑制性B細胞の投与により発症予防や治療につなげていく。 抗サル基底膜モノクローナル抗体を作製し、自己免疫性水疱症モデルサルを樹立する。
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