2018 Fiscal Year Research-status Report
発汗と精神神経症状を統合するmTORの新規Ca2+チャネル調節機構の解明
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16K10155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 眞理 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70397644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | mTORC1 / Calcium influx / Thermal hypersensitivity / TSC / sirolimus |
Outline of Annual Research Achievements |
Ca2+チャネルは、てんかん、自閉症、認知障害、発汗や痛みの病態に関与し、mTORC1により調節される。細胞内Ca2+貯蔵器官の小胞体膜のCa2+チャネルは、イノシトール3リン酸(IP3)受容体で調節され、リガンドであるIP3は、PI3キナーゼ(PI3K)により産生される。PI3Kは細胞膜でPI3を産生し、mTORの活性化に関与すること、mTORがエンドソームの膜でPI3Kを介してオートファジーの進行に関与する事は知られている。しかしCa2+チャネルに対するmTORの関与は不明である。そこで、mTORC1が恒常的に活性化し、全身に過誤腫、てんかん、自閉症、精神発達遅滞、白斑、発汗異常、を呈する結節性硬化症(TSC)をモデルとして、中枢と末梢における、mTORC1 を介したCa2+チャネルの調節という共通の機序の解明を考えた。今年度は、発汗異常、痛覚異常と自閉症を発症するTSCのモデルマウスを用いて、発汗や痛みと中枢神経精神症状に共通のmTORC1を介したCa2+チャネルの異常機構の解明をめざしてきた。 実際には、mTORC1が恒常的に活性化しているTSCの患者とTSCのモデルマウスにおける発汗異常や痛覚異常の有無を調べ、TSC患者とモデルマウスのいずれにおいても、発汗異常と温痛覚の過敏が認められ、さらにTSCモデルマウスにおいては、これら痛覚過敏がシロリムスにより軽快する事を確認した。ついで、ワイルドタイプのマウスと比較して温痛覚刺激により、神経活動が活性化しているマウスの視床下部の発汗や痛みの中枢でCa2+の流入が増加しており、これらのCa2+の流入や神経の活性化はシロリムスの投与で抑制できる事をmanganese-enhanced MRI (MEMRI)を用いて示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年中におこった地震の為に集積したデータの一部を消失し、実験のやり直しを余儀なくされた。さらに実験施設や種々の器機にも異常が認められ、特に精密器機は壊れていなくとも、全て調整し直しが必要となり、実際の実験の再開にも時間を要した。データ消失そのもので既に遅れを生じていたにもかかわらず、前述の理由で実験再開、実験の進捗も予定より遅れ、全体として遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
患者の温熱痛覚の異常やTSCのモデルマウスにおける温熱痛覚閾値の異常はすでに調べており、又それら異常に対するmTORC1の阻害剤の効果の検討も終了している。人を用いての研究には限界があるので、今後は動物と細胞を用いた実験系でmTORC1が温痛覚に及ぼす作用機序の検討を行っていく。まず、モデルマウスの中枢部、脊椎の末梢神経部、汗腺部、及び皮膚の神経末端などの組織を用いて、免疫組織科学的、western blotting やリアルタイムPCRなどを用いて、 mTORC1の中枢、末梢神経や汗腺における作用機序を検討する。ついでCRISPR/Cas9TSCを用いて、TSC1,TSC2をノックアウトの神経細胞、グリア細胞、線維芽細胞、汗腺細胞等を使用し、calcium influx を用いて、Ca2+の動き、mTIORC1の活性化、Brain-derived neurotrophic factor (BDNF)、cAMP response element binding protein (CREB)に対する影響、CaMKIIα、AMPレセプターへの影響を検討し、温熱刺激に対する、中枢末梢神経の反応とmTORC1の関与、更にmTORC1阻害剤の作用機序を確定する。大阪大学医学部では2019年7月より1年間新しい動物実験施設の新設の為に、現行の動物実験施設が閉鎖される。従って7月までに動物を使用する実験はできる限り終えて、サンプルの収集を行った上で、2019年後半はそれら組織サンプルの解析と細胞を中心にした機序解明の為の実験に移行していく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年中におこった地震の為に集積したデータの一部を消失し、実験のやり直しを余儀なくされた。さらに実験施設や種々の器機にも異常が認められ、特に精密器機は壊れていなくとも、全て調整し直しが必要となり、実際の実験の再開にも時間を要した。データ消失そのもので既に遅れを生じていたにもかかわらず、前述の理由で実験再開、実験の進捗が予定より遅れ、全体として実験が遅れてできなかった分、経費も持ち越しとなった。
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[Journal Article] Heightened BRAF and BRAF pseudogene expression levels in two Japanese patients with Erdheim-Chester disease2018
Author(s)
Murakami, Yukakoa, Wataya-Kaneda, Mari,*, Kitayama, Kazukoa, Arase, Norikoa,b Murota, Hiroyukia, Hirayasu, Kouyukic, Arase, Hisashib, Katayama, Ichiro
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Journal Title
Journal of Cutaneous Immunology and Allergy
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Sirolimus Gel Treatment vs Placebo for Facial Angiofibromas in Patients With Tuberous Sclerosis Complex: A Randomized Clinical Trial.2018
Author(s)
Wataya-Kaneda M,*, Ohno Y, Fujita Y, Yokozeki H, Niizeki H, Ogai M, Fukai K, Nagai H, Yoshida Y, Hamada I, Hio T, Shimizu K, Murota H.
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Journal Title
JAMA Dermatol.
Volume: 154
Pages: 781-788
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Sirolimus gel treatment for tuberous sclerosis complex involving facial angiofibromas and cephalic plaques: a multicenter randomized controlled trial2018
Author(s)
Mari Wataya-Kaneda, Yuuki Ohno, Yasuyuki Fujita, Hiroo Yokozeki, Hironori Niizeki, Masaaki Ogai, Kazuyoshi Fukai, Hiroshi Nagai, Yuichi Yoshida, Izumi Hamada, Taihei Hio, Kenji Shimizu, Hiroyuki Murota
Organizer
IID
Int'l Joint Research
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