2017 Fiscal Year Research-status Report
生物種を超えて交差するIgE依存性I型アレルギーの発症機序とCCDの関与の解明
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16K10157
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
千貫 祐子 島根大学, 医学部, 講師 (00294380)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖 / α-Gal / マダニ / 獣肉 / セツキシマブ / アナフィラキシーショック / アニサキス / ハチ |
Outline of Annual Research Achievements |
マダニ咬傷に起因する獣肉アレルギー患者の約半数が、ハチやアニサキスに感作されていることが判明した。本邦における獣肉アレルギーの原因抗原エピトープが糖鎖galactose-α-1,3-galactose (α-Gal)であることは既に解明しているが、抗α-Gal抗体(マウスIgMタイプ)を用いた検索では、ハチやアニサキスにはα-Galが存在せず、交差反応であることが示唆された。現在、引き続き解析を進めている。 また、近年、日本全国各地から獣肉アレルギー症例が報告されているにも関わらず、北海道からはほとんど報告がない。これは、北海道に生息するシュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)は、申請者らが唾液腺中にα-Gal糖鎖を証明したフタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)と性質が異なることを示唆しており、今回申請者らはシュルツェマダニにおけるα-Gal糖鎖の検索を行った。 また、α-Gal糖鎖に起因する抗悪性腫瘍薬のセツキシマブのアナフィラキシーショックでは死亡例も生じており、その回避は早急に達成しなければならない事例である。今回、申請者らは、セツキシマブを投与される予定のある200名以上の頭頸部癌患者を対象に、前向き研究を行った。その結果、事前にα-Gal特異的IgEを検出することによって、セツキシマブによるアナフィラキシーショックの発生率を有意に減少させることが出来た。 引き続き、糖鎖が関与する病態解明および糖鎖に起因するアナフィラキシーショックの予知予防に関する解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗α-Gal-抗体(マウスIgMタイプ)を用いた検索の結果、アニサキスとハチにα-Gal糖鎖自体は存在しなかったため、その他の交差反応について解析中である。 また、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)におけるα-Gal糖鎖の有無を解析したところ、シュルツェマダニにはα-Gal糖鎖は存在しなかった。これは、マダニの種類によって感作の病態が異なる可能性を示唆している。 さらに、α-Gal糖鎖に起因するアナフィラキシーショックを回避するための解析も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
糖鎖の解析はタンパク質の解析とは異なり、世界的にこれまで多くはなされてきていないため、データベースに照らし合わせる際も、同定に苦慮する可能性がある。ただし、当院にはマダニ咬傷患者、獣肉アレルギー患者、ハチアレルギー患者、アニサキスアレルギー患者が多く通院しており、説明と同意の上で血球や血清を豊富に収集しているため、目的とするタンパク質や糖鎖を解明するための試料が豊富であり、着実に研究を進行させている。 また、α-Gal糖鎖に起因するアナフィラキシーショックを回避するための解析については、松江赤十字病院耳鼻咽喉・頭頸部外科との共同研究で行なっている。
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Causes of Carryover |
2017年度は、大学内の共同研究棟の設備を使用した解析が多く、またそれまでに購入していた試薬や実験機器を継続して使用可能な状態であったため、試薬や機器の新たな購入が少なめであった。2018年度は質量分析などを中心に行う予定であり、必要な試薬やカラムの購入を予定したため、次年度使用額が生じた。また、2018年度は糖鎖構造分析も進める予定である。 さらに、実験で得られた成果について国際学会で発表すると同時に、論文を作成し、その投稿費や英文校正費にも使用する予定である。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Efficacy and safety of omalizumab for the treatment of refractory chronic spontaneous urticaria in Japanese patients: Subgroup analysis of the phase 3 POLARIS study2018
Author(s)
Hide M, Igarashi A, Yagami A, Chinuki Y, Inomata N, Fukunaga A, Kaiser G, Wang J, Matsushima S, Greenberg S, Khalil S.
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Journal Title
Allergology International
Volume: 67
Pages: 243-252
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Outbreak of immediate-type hydrolyzed wheat protein allergy due to a facial soap in Japan2017
Author(s)
Yagami A, Aihara M, Ikezawa Z, Hide M, Kishikawa R, Morita E, Chinuki Y, Fukutomi Y, Urisu A, Fukushima A, Itagaki Y, Sugiura SI, Tanaka H, Teshima R, Kato Z, Noguchi E, Nakamura M, Saito H, Matsunaga K.
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Journal Title
Journal of Allergy and Clinical Immunology
Volume: 140
Pages: 879-881
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Efficacy and safety of omalizumab in Japanese and Korean patients with refractory chronic spontaneous urticaria2017
Author(s)
Hide M, Park HS, Igarashi A, Ye YM, Kim TB, Yagami A, Roh J, Lee JH, Chinuki Y, Youn SW, Lee SK, Inomata N, Choi JH, Fukunaga A, Wang J, Matsushima S, Greenberg S, Khalil S.
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Journal Title
Journal of Dermatological Science
Volume: 87
Pages: 70-78
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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