2017 Fiscal Year Research-status Report
乾癬モデルマウスを用いた乾癬性関節炎の発症機序の解明
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16K10162
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNFB / PsA / TNF-α / IL-17A / K5-Stat3C / LRG |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬モデルマウスであるK5-Stat3C トランスジェニックマウスの足趾にジニトロフルオロベンゼン (DNFB) を反復塗布すると、1週後にPsA の指趾炎でみられるソーセージ様腫脹が生じ、2週後にはPsA でみられる付着部炎が足関節に出現することを組織学的に確認した。さらに塗布8週後には腱付着部の炎症細胞浸潤とともに腱の著明な肥厚が生じた。このDNFB 誘発関節炎モデルにおける関節での炎症性サイトカインの遺伝子発現を検討すると、TNF-α, IL-1β, TGF-β, IL12p35, IL-17A, IL-17F の発現が増加していた。乾癬モデルマウスの K5.Stat3C トランスジェニックマウスとロイシンリッチα-2グリコプロテイン(LRG) KO マウスを交配させ、K5.Stat3C: LRG ( +/-) マウスを作成し、LRG KO マウスにバッククロスさせてK5.Stat3C: LRG (-/-) マウスを得る。K5.Stat3C: LRG (-/-) マウスの足趾にDNFBを反復塗布すると、組織学的には腱や筋肉の骨付着部における好中球、リンパ球浸潤は減少し、DNFB塗布8週後の足趾の組織学的所見においても腱の肥厚は認められなかった。DNFB反復塗布したK5.Stat3C: LRG (-/-) マウスの足趾におけるサイトカインの遺伝子発現は、K5.Stat3C: LRG ( +/+ )と比較すると、TNF-αとIL-17A の発現が低下しており、LRG はPsA の発症にTNF-αカスケードならびにTh17 経路を介して関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学物質を用いた慢性接触皮膚炎による乾癬性関節炎モデルマウスが確立され、LRGがTNF-αおよびTh-17経路を通じて乾癬性関節炎の発症に関与していることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
K5.Stat3C: LRG ( +/+ )、LRG ( +/-) 、LRG (-/-)マウスの足趾に0.5% DNFBを週 2 回塗布し、経時的に関節腫脹と変形を観察し、LRG 欠損により関節炎が抑制されるかを観察する。塗布開始2週、4週、8週、12週後に、単純 XP 撮影後、血液、鼠径リンパ節、足趾を採取して、画像と組織学的所見の両者においてLRG 欠損による関節炎抑制効果および流入リンパ節における炎症細胞浸潤の程度を検討する。さらにDNFB 塗布後のK5.Stat3C: LRG ( +/ +)マウス血清中のLRGをELISA により測定し、関節炎の程度とLRG 値の間に相関 がみられるかを検討する。また足趾の関節組織および鼠径リンパ節中におけるLRG の遺伝子発現も経時的に比較する。K5.Stat3C: LRG ( +/+ )、LRG ( +/-) 、LRG (-/-)の三群において、DNFB 塗布後の血液、鼠径リンパ節、関節局所での Th-17 関連サイトカ イン、リンパ球サブセットの発現を、ELISA、免疫染色法、PCR で検討し、LRG と関連するサイトカインや分子マーカーを検索する。 また、鼠径リンパ節および関節での浸潤細胞における制御性T 細胞とTh-17 細胞の割合をフローサイトメトリーにより解析し、LRG 欠損が制御性T 細胞とTh-17 細胞のどちらのサブセットに影響を与えるかを検討する。
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Causes of Carryover |
物品費の支出に残金が生じたが、次年度の物品費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)