2016 Fiscal Year Research-status Report
Mowat-Wilson症候群の原因遺伝子ZEB2のコラーゲン合成経路への関与
Project/Area Number |
16K10163
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
寺石 美香 高知大学, 医学部, 研究員 (40437736)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Mowat-Wilson症候群 / コラーゲン合成 / ZEB2 |
Outline of Annual Research Achievements |
モワット・ウィルソン症候群(MOWS)は、1998年にモワットとウィルソンによって報告され、1)重度知的障害、2)特徴的顔貌、3)小頭症、4)ヒルシュスプルング病(巨大結腸症)を特徴とする症候群である。全国に1000~1500人ほどの患者さんが推定されている。原因は、2番染色体にある両親のいずれか片方のアレルにおけるZEB2遺伝子の変異で、ZEB2タンパク質が作られなくなることが原因である。遺伝性ではなく、ご両親の配偶子(精子あるいは卵子)のどちらかのZEB2遺伝子に突然変異が起こり、患者さんが本症候群になったと考えられている。ZEB2は細胞の遊走に関連がある転写因子であり、このタンパク質の変異により神経や骨格などの発生異常がMOWSの症状に反映されていると想定される。今回われわれは、これまであまり論じられて来なかった皮膚所見に着目したところ、新たにMOWSにおける皮膚症状を見いだした。日本国内における複数の施設で診察できたほとんどのMOWS患者さんの皮膚で、過伸展、関節の過屈曲、皮膚萎縮性瘢痕など、エーラスダンロス症候群に似た症状を確認した。総じて真皮の菲薄化があり電顕で観察するとコラーゲン線維朿に異常が認めらた。これを確認するために、ZEB2遺伝子を真皮などで欠損したマウス(ZEB2ノックアウトマウス)を作成したところ、それらにおいてMOWS患者さん同様、皮膚の過伸展、たるみ、菲薄化などが再現された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルマウスを作製し、皮膚症状や組織学的な検討が行えた。真皮組織片より線維芽細胞を分離、培養も達成しており、今後種々の解析に用いる準備ができた。また、MOWS患者の皮膚症状についての解析も進み、これらの点は順調であると言って良い。しかし、MOWSが稀少疾患であることから解析できる患者数が少なく、更に真皮の採取など侵襲的な検査を行うことのできる患者が限られることから、統計学的な解析が十分に行えていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
電子顕微鏡検査により真皮コラーゲン線維の微細構造に異常がないか検討する。また、ZEB2ノックアウトマウスについても同様に電子顕微鏡所見を得る。 一方で、平成28年度に分離、培養したMOWS患者およびモデルマウスの線維芽細胞について、増殖能、遊走能、コラーゲン合成能など基本的な働きを調べる。コラーゲン合成能に関しては、培養上清中のコラーゲン蛋白量の定量のほか、コラーゲン合成系に関わる遺伝子や、分解系に関わる遺伝子の発現について半定量し、検討を行う。MOWS患者とモデルマウスでこれらの結果を比較し、相同性の有無を検討する。また、これらの内容に関して、EDS患者の線維芽細胞とも比較することで、EDSとの相同性についても検討する。
|
Research Products
(1 results)