2016 Fiscal Year Research-status Report
早期転移をきたす予後不良なメルケル細胞癌の癌間質標的療法に向けた基礎的研究
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16K10164
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
成澤 寛 佐賀大学, 医学部, 教授 (60164498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 浩太郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (30549077)
井上 卓也 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50380754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メルケル細胞癌 / 混合培養 / メルケル細胞ポリオーマウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
MCPyV陽性、陰性それぞれのメルケル細胞癌細胞株を気相-液相界面培養系を用いてコラーゲンゲル中で培養した。単独培養で通常2週間以上生存維持させることができるが、有棘細胞癌細胞株との混合培養によりMCPyV陽性のメルケル細胞癌細胞癌は形態学的に変性/壊死が目立つようになり、その生存・増殖能は低下、アポトーシスは増加した。また逆に有棘細胞癌細胞も、MCPyV陽性メルケル細胞癌との混合培養で生存・増殖能が低下した。
自験症例の解析の結果、CD200に着目した。CD200は二つの免疫グロブリン様ドメイン(V,C)と単一の膜貫通および短い細胞質ドメインを含有するIgスーパーファミリー(IgSF)に属する高度に保存された膜糖タンパクであり、胸腺、B細胞、活性化TおよびB細胞、樹状細胞、ニューロンおよび内皮細胞等、多様な細胞がCD200を細胞表面に発現している。CD200/CD200Rは自己免疫寛容の維持に必要とされ、自己免疫・炎症・阻害活性・過敏性の制御におけるCD200の重要性が明らかになっている。メルケル細胞癌にはCD200が強発現している事を確認した。この所見は、メルケル細胞癌の特徴とされる免疫回避メカニズムの一端を解明するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度期間中も症例解析は実施中であり、平成29年度は学会発表および論文執筆の準備に取り掛かる。
平成28年度中から日本におけるメルケル細胞癌の実態を把握するために、詳細な情報を収集中であり、データ解析および考察を予定している。
平成28・29年度の作業の進捗が順調であり、平成30年度の予定している①データ解析、②学会発表、③論文執筆の予定を平成29年度に前倒しで実施できる見込みが出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度中から日本におけるメルケル細胞癌の実態を把握するために、詳細な情報を収集中であり、データ解析および考察をすすめている。具体的には、日本での疫学データが全くないため、既に佐賀大学医学部臨床研究倫理審査委員会の承認を受け佐賀大学主導多施設共同研究として、全国約20施設で症例を集めて現在症例集積中。更に参加施設を募る予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度のメルケル細胞癌の症例集積が少なかった。cell lineとなった既知の細胞株を用いた実験は実施し得たが、患者から得られた細胞での混合培養は行えなかった。平成29年度は他施設との共同研究も進めているため、検体の入手は平成28年度よりも改善するものと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メルケル細胞癌の幹細胞の特性の検討を、既に平成28年度から開始しており、さらに表皮内・真皮内メルケル細胞癌の幹細胞および間質の差異の有無について検討する。また、CD200発現についても、浸潤リンパ球の解析も予定している。
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Research Products
(4 results)