2017 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経障害回復におけるネスチン陽性細胞の役割及び新しい治療法の確立
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16K10174
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三井 純雪 北里大学, 医学部, 准教授 (80337948)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 末梢神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
毛包に存在するネスチン陽性細胞は、末梢神経障害時に神経切断面に向けてβIIItubulin陽性の突起を延長する。それらの突起は成長円錐を有する軸索であり、またシナプスを構成するカルシウムイオンチャネルを有し、シナプスに発現するsyntaxin陽性であった。さらにネスチン陽性細胞は毛包ならず末梢神経にも存在していた。末梢神経のネスチン陽性細胞は毛包に存在する細胞とほぼ同様の性質を持ち、末梢神経障害時に神経細胞等に分化する。この細胞の増殖は脊髄等の中枢神経にはみられない。このことは末梢神経障害が回復可能な一方、中枢神経は回復しない一つの理由ではないかと考えられる。また、ネスチン陽性細胞から分化した神経細胞は、軸索誘導因子netrinを強く発現していた。このことは中枢から新生する軸索が障害された末梢神経に都合よく伸びていくことを説明できる結果と考える。さらに神経節に存在するネスチン陽性細胞は、組織学的には神経細胞体周囲に存在する衛星細胞と考えられる。末梢神経障害時におけるこれらの細胞の役割は不明であるが、末梢神経障害モデルマウスの検討では、中枢の神経細胞体から延びる新生軸索を支持するシュワン細胞と考えられる。また末梢神経障害モデルマウスでは障害された末梢神経の障害遠位部にネスチン陽性神経細胞が増殖することが確認でき、in vitro, in vivo両方の実験系で末梢神経に存在するネスチン陽性細胞は神経細胞に分化することを証明できた。 以上は前年度まで到達できた内容だが、29年度は臨床に従事し、研究活動を行うことは困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床に従事し、研究業務を行うことが困難であった。研究の重要な材料のネスチンGFPマウスのネスチン発現が可視化難しく、確認実験に終始した。
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Strategy for Future Research Activity |
ネスチンGFPマウスのネスチン発現が可視化を安定させる方法を検討中である。
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Causes of Carryover |
2017年度は臨床に従事し、研究活動を行うことは困難であった。ほぼ保有動物の維持、消耗品の購入のみであった。2018年度より時間を多少割けるようになり研究再開している。活動電位計測、共焦点レーザー顕微鏡の使用、実験動物の購入維持、免疫染色に使用する抗体類に使用していく。
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