2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K10178
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤田 英樹 日本大学, 医学部, 准教授 (10323544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照井 正 日本大学, 医学部, 教授 (30172109)
葉山 惟大 日本大学, 医学部, 助教 (40647187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乾癬 / アトピー性皮膚炎 / 慢性蕁麻疹 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はアトピー性皮膚炎患者3名・慢性蕁麻疹患者7名からの糞便の採取、および採取した糞便からの細菌叢DNAの解析を行った。RDPのカットオフを0.8以上として、微生物同定DBとBLAST検索の結果で相同率97%以上の基準にて微生物を同定し、属(genus)レベルの解析を行った。アトピー性皮膚炎患者においては3名とも、最も高頻度に見られたのがBacteroides属であり、二番目に高頻度に見られたのがBlautia属であることが共通していた。特にBacteroides属は3名のアトピー性皮膚炎患者の細菌叢全体の30.3%~35.4%と約三分の一を占めていた、また、Bacteroides属とBlautia属を合計すると、細菌叢全体の46.2%~63.6%を占めていた。しかし、アトピー性皮膚炎患者においては、Bacteroides属とBlautia属が特に高頻度であること以外には、明らかな共通点はみられなかった。慢性蕁麻疹患者においては、7名中5名でアトピー性皮膚炎患者3名と同様に、Bacteroides属が最も高頻度(11.4%~36.3%)に見られた。しかし、残りの2名で最も高頻度に見られたのはPrevotella属(42.2%)とAkkermansia属(10.9%)であった。Akkermansia属が最も高頻度でみられた患者では、Bacteroides属は2番目であったが、Prevotella属が最も高頻度でみられた患者では、Bacteroides属は17番目の頻度であった。よって、現時点では少数例の解析ではあるが、アトピー性皮膚炎患者では、腸内細菌の中でもBacteroides属とBlautia属の優位性が示唆され、慢性蕁麻疹患者では腸内細菌叢がより多様である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は研究に糞便を扱う上で実験環境上の問題が生じたため、研究に遅れが生じた。当初の研究計画では平成29年度は乾癬・アトピー性皮膚炎・慢性蕁麻疹の患者からの糞便の採取、および採取した糞便からの細菌叢DNAの精製と糞便中有機酸・遊離胆汁酸の分析を主に行う予定であったものの、アトピー性皮膚炎患者3名および慢性蕁麻疹患者7名の解析にとどまった。しかし、糞便からの細菌叢DNAの精製と次世代シークエンサーによる細菌叢DNA解析をテクノスルガ・ラボに委託することで、実験環境上の問題は解決されつつある。また、患者からの糞便サンプルの収集についてもさらに進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の研究計画に基づいて、乾癬・アトピー性皮膚炎・慢性蕁麻疹の患者からテクノスルガ社の採便容器のキットをを用いて糞便の採取を採取し、採取した糞便からQIAmp DNA Stool kit (QIAGEN社) を用いて細菌叢DNAの精製をすすめる。その後、KAPA Library Amplification Kit (KAPABIOSYSTEMS社)を用いて、精製したDNAから16SrRNA遺伝子のV3とV4領域を含むプライマーによりPolymerase Chain Reaction (PCR)で460 bpの断片を増幅する。さらに、Nextera XT index kit (illumina社)を使用して タグ付加のみを目的とした8 cycleの PCR増幅でシーケンスに必要なアダプター配列の付加を行った後、次世代シークエンサーを用いて細菌16SリボゾームRNA(16SrRNA)遺伝子のアンプリコン解析またはショットガン解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由:平成29年度は糞便を扱う上で実験環境上の問題が生じたため、研究に遅れが生じた。その遅れに伴い研究に必要な試薬等の購入を延期したため、当初想定していたよりも、使用額が少なくなった。 使用計画:平成30年度は、当初平成29年度に割り当てて予定していた研究を遂行するとともに、可能な限り、次世代シークエンサーを用いた細菌16SリボゾームRNA(16SrRNA)遺伝子のアンプリコン解析またはショットガン解析を行う予定であるため、その分のテクノスルガ社の採便容器のキット、QIAmp DNA Stool kit (QIAGEN社)、Nextera XT index kit (illumina社)の購入を行う予定である。また、テクノスルガ・ラボに世代シークエンサーによる細菌叢DNA解析を依頼する予定である。
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