2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント薬と局所免疫の併用による悪性黒色腫の治療
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16K10179
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
門野 岳史 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (80292910)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / 抗PD-1抗体 / イミキモド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に種々の条件下での免疫チェックポイント薬と局所免疫の併用による悪性黒色腫に対する治療効果の検討を行った。B16悪性黒色腫細胞をC57BL/6マウス背部に200,000個皮内注射するモデルを用い、腫瘍が形成された段階で、抗PD-1抗体を10mg/kg腹腹腔内に計2回投与し、その後の腫瘍の成長速度を計測した。従来知られている通り、抗PD-1抗体を腹腔内に投与することにより、腫瘍の成長速度は遅延したが、今回の検討では、腫瘍の成長自体を完全に抑えることはできなかった。抗PD-1抗体投与に加えて腫瘍局所にアロもしくは同種の免疫グロブリンを注入し、上乗せ効果が得られるかどうか検討した。これに関してはまだ検討中であるが、単にアロの免疫グロブリンを注入するだけでは、やや不十分であると思われた。さらに、イミキモドを腫瘍部に外用もしくは局注することによる上乗せ効果や、polyICを腫瘍局所に注入することによる上乗せ効果について検討を行った。イミキモド腫瘍部局注およびpolyICの腫瘍部局注は単独では効果が乏しいものの、抗PD-1抗体投与と組み合わせることにより、抗PD-1抗体投与単独以上の治療効果が得られそうである。しかしながら、まだ実験回数が不十分であり、また薬剤の組み合わせや投与回数などといった変数が多いため、引き続き細かい条件設定を行うとともに、再現性を確認している途中である。今年度は至適条件を確認した上で、治療効果増強に関する機序に関する検討も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
条件設定の段階で、ややばらつきが生じているため、当初よりも条件設定に要する実験回数が多く必要になっている。ある程度実験を並行して行っているものの、一回の実験の結果がでるまで一ヶ月半ほど必要であり、予定より時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫チェックポイント薬である抗PD-1抗体投与に加えて、アロ免疫グロブリンを注入、イミキモドを腫瘍部に外用もしくは局注、polyICの局所注入といった局所免疫の併用療法の最適条件を確定させる。その後は、腫瘍病変への好中球、リンパ球、組織球、肥満細胞などの炎症細胞浸潤やPD-L1およびPD-L2の発現を検討し、併用療法が有効である機序についての検討も行う。ただし、本年度はマウス飼育室が使用できない期間が数ヶ月ほどあるという難点がある。
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Causes of Carryover |
昨年度は主に条件設定を行っていたため、機序に関する検討まで行わなかった関係で予想より出費が抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は条件設定を定めたのち、免疫チェックポイント薬と局所免疫の併用による相乗効果の機能解析まで進む。主たる出費はマウスの飼育費、投与する抗体、プライマー、染色に用いる抗体などである。ただし、マウス飼育室が使えない期間が数ヶ月あり、その間は出費がほとんどないと予想される。
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