2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の脳内α7ニコチン様アセチルコリン受容体:PETによる研究
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16K10186
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
和久田 智靖 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80444355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20209399)
尾内 康臣 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40436978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポジトロン断層法 / 統合失調症 / アセチルコリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の症状の一つに認知機能(注意、学習、記憶など)障害がある。脳内コリン系は認知機能の中核を担っており、とりわけα7ニコチン様アセチルコリン受容体(α7-nAChR)が重要な役割を担っている。統合失調症の治療薬はドパミン受容体遮断の薬理作用をもち、主に陽性症状に効果が見られるが、陰性症状や認知機能障害に対して効果が乏しかった。最近、アセチルコリン受容体のサブタイプの一つであるα7ニコチン型受容体アゴニストが統合失調症の陰性症状や認知機能障害に効果があることが報告されている。しかし、そのメカニズムは不明である。これまで脳内α7ニコチン型受容体計測は手法上不可能であったが、近年同受容体に特異的なPETトレーサーが開発され計測が可能となった。 そこで、本研究は、ポジトロン断層法 (PET) によるα7ニコチン型受容体の計測、および、詳細な認知心理学的検査により、脳内におけるα7ニコチン型受容体異常が統合失調症の生物学的要因と仮定し、PETを用いて統合失調症者の脳内α7ニコチン型受容体と臨床症状(主に陰性症状と認知機能障害)との関連を明らかにすることを目的とする。本研究の最終目的は、この考察をふまえた統合失調症治療薬の開発、更にはα7ニコチン型受容体の画像検査を用いた統合失調症の早期発見に資する点にある。 成人統合失調症者20名、および、それらと年齢・性別・知能指数を適合させた健常対照者20名を対象とする。統合失調症の臨床評価をPANSS、CogState、WAIS-IIIによりそれぞれ評価した後、α7ニコチン型受容体の特異的トレーサー[11C]Me-QAAを用いたPET計測を同一日に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UMIN(000024180)に登録後、被験者募集を開始した。平成29年3月現在、健常対象者はすでにPET撮像が順調に行えている。遂行上大きな問題は生じていない。統合失調症者はまだ撮像していないものの、平成29年に撮像が順調に進むようにタイムスケジュールを調整しているところであり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と同様、健常対象者および統合失調症者のリクルートを行い、PET撮像および認知機能評価を遂行していく。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも被験者数が少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PET撮像にかかる費用および、被験者の謝金に使用していく
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