2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症原因遺伝子として大きな可能性を持つSBNO1遺伝子の分子遺伝学的検証
Project/Area Number |
16K10190
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野 慎治 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 客員研究員 (70418820)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 臨床精神科学 / 臨床精神分子遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの統合失調症の遺伝子解析の報告から、既に単一遺伝子病ではないということが明らかになっているため、本研究では統合失調症の異種性を鑑み、発症要因をレアバリアントに求め、ゲノムワイドな変異アレル群の探索を行うこととした。その効果的戦略として、本研究では、3世代に渡り統合失調症を多発する一家系を対象に全エキソンシーケンスを行い、全ての罹患者が持つ一塩基置換で病的意義が高いと思われるものを抽出した。その結果、現時点でStrawberry Notch Homolog 1 (SBNO1)遺伝子で変異を同定した。その蓋然性を確認するため、多数の統合失調症検体が必要となったため、我々は統合失調症患者の検体を収集した。検体収集は所属している病院の協力を得て、長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会の承認のもと行われ、研究代表者が赴き個人ごとに説明し、それぞれの個人から同意書を頂いた後、約500個人の血液もしくは唾液を採取した。フェノール・クロロホルム法もしくはDNA抽出キットによりDNAを抽出し、それぞれの検体を匿名化しデータファイルを作成した。現時点で検体収集は完了し、これから患者群を対象としたSBNO1遺伝子のターゲットシーケンスに移行する予定である。データベースや解析ソフトは日々更新されることが知られていて、既に今回の解析は数年前のデータベースを用いていることもあり、最新のデータベースを用いて、これまで解析したデータを改めて解析し直す必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定は、患者群でSBNO1遺伝子内の変異がどの程度あるのか検証することであったが、患者検体の収集およびDNAの抽出に想定外に時間を要し、解析、検証まで進むことができなかった。しかしながら、患者DNA群が十分数整備されたため、今後の解析は予定通り進んでいくと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の発端である家系解析を行った際に、病的変異を検出するために用いたデータベースは年々更新されているため、新たな変異が検出される可能性がある。そのため、更新されたデータベースを用いて再度病的意義のある新規遺伝子がないかどうかを確認したうえで、SBNO1を含めた病的意義を持つ遺伝子に対して、今年度収集した患者群で変異解析を行う。変異解析にはIllumina社のMiSeqを用いる予定である。手技や解析方法は既に熟知しているため解析は容易に進むことが予想される。
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Causes of Carryover |
統合失調症患者群による解析をするために、まずは検体収集を行う必要があった。検体収集には当初の計画書に記載している通り予算を計上しておらず、かかる交通費やDNA抽出の為のキットは他の予算からまかなったため、今年度は使用額がなかった。また、検体収集数が膨大であったため、想定よりも時間を要してしまい、当初予定されていた解析まで至らなかったことも原因の一つとして挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費のほとんどは、患者群のターゲットシーケンスに必要である試薬類を購入する経費として計上している。次年度は解析に移れる目処が立ったため、その残りを使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] De novo non-synonymous TBL1XR1 mutation alters Wnt signaling activity.2017
Author(s)
Akira Nishi, Shusuke Numata, Atsushi Tajima, Xiaolei Zhu, Koki Ito, Atsushi Saito, Yusuke Kato, Makoto Kinoshita, Shinji Shimodera, Shinji Ono, Shinichiro Ochi, Akira Imamura, Naohiro Kurotaki, Shu-ichi Ueno, Nakao Iwata, Kiyoshi Fukui, Issei Imoto, Atsushi Kamiya, and Tetsuro Ohmori
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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