2017 Fiscal Year Research-status Report
産業および一般集団を対象としたうつ状態の遺伝的予測因子の探索
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16K10193
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
音羽 健司 帝京平成大学, 臨床心理学研究科, 教授 (70456119)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子 / うつ状態 / ストレス / 環境 / 産業 / 予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、産業および一般集団サンプルを対象に、1)多数の遺伝子座位を組み合わせた遺伝リスクスコアによるうつ状態の予測因子の探索、2)職場環境ストレスによる遺伝子とうつ状態の関連の評価、等である。 今年度は、九州地区の企業に勤務する従業員約400名と北陸地区の企業より約300名の総計約700名のサンプルを対象に、Illumina 300Kチップを用いて、全ゲノム関連解析を実施した。 1)の遺伝リスクスコアの予測としては、九州サンプル(n=372)と北陸サンプル(n=308)の2群間で検討を行った。ポリジェニック解析によって、P値が0.01, 0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5以下のSNPs群でそれぞれの群での因子を計算し、北陸サンプル⇒九州サンプル、九州サンプル⇒北陸サンプルの予測を行ったところ、北陸サンプル⇒九州サンプルの最小P=0.157、九州サンプル⇒北陸サンプルの最小P=0.322であり、有意な結果はみられなかった。 2)では、それぞれのサンプル内でK6の得点(13点以上をうつ状態)で健常-うつ状態群の2群に分け(九州サンプル(n=372;51 case vs 282 control)と北陸サンプル(n=308;36 case vs 272 control))、各サンプルを用いてうつ状態の全ゲノム関連解析を行った。その結果、九州サンプルと北陸サンプルで共通に有意(P<0.01)なSNPとして10個が見出された。さらに、一般集団サンプルを用いてCES-D得点(16点をカットオフとする)によりうつ状態群(n=20)と健常対照群(n=27)の2群に分け、全ゲノムメチル化関連解析を行ったところ、G蛋白共役型パスウェイに含まれる遺伝子群が有意に関連していることが示された(Shimada et al., 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、当初の研究計画の一つであった遺伝子解析(全ゲノム関連解析)を行い、また、多数の遺伝子多型を組み合わせたうつ状態の予測因子の解析を行えた。遺伝的予測因子の解析はネガティブな結果となっており、サンプル規模の少なさから有意な結果が得られなかったと考えられた。しかし、小規模ながらも2つのサンプル(北陸サンプルと九州サンプル)に共通してうつ状態に関係する遺伝部位が見出すことができた。サンプル規模の拡大がより関連の強い結果につながることが期待できたため、今後は2つのサンプルをあわせて1つのサンプルとして再度解析を行い、そこで得られた候補部位のより詳しい解析を要する状況であり、来年度以降に候補領域を選定した上で同一サンプルあるいは別のサンプルを用いて追加解析を行う予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、サンプル規模を増やすためにサンプルを分けずに1つのサンプルとして再度全ゲノム関連解析を行い、そこで得られた結果や他のうつ状態の候補遺伝子を最近の文献からも選定追加することで、最終的に48-96遺伝子多型を選定する。この48-96遺伝子多型を組み入れたカスタムアレイを用いて、同一サンプルを用いて再度解析を行い、全ゲノム関連解析から得られた結果の検証を行う。また、独立した追加サンプルを現在収集しており、同じ候補遺伝子多型セットを用いて遺伝子解析を行うことで、これらの遺伝子部位とうつ状態の関連性を再現できるか確認する予定としている。
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Causes of Carryover |
うつ状態の候補遺伝子となりうる48-96遺伝子多型を選定したカスタムアレイの作成費用として主に計上していたが、今年度は全ゲノム関連解析を主に行っており、候補遺伝部位の選定作業とカスタムアレイの作成にまでは研究計画が進まなかった。そこで、今年度に得た結果とサンプル規模を拡大した解析から得られた結果によって候補遺伝部位の選定作業を引き続き行い、一次解析結果の検証と再現解析を目的としたカスタムアレイを用いた遺伝子解析に進めることとしており、当初の予算通り、今年度分の未使用額をそこに充当することとしている。併せて次年度は最終年度となることから、主にデータ解析を行うパソコンなどの新規機器類の購入や結果の公表のための学会発表・国際雑誌への投稿費用に充てる予定としている。
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[Journal Article] An epigenome-wide methylation study of healthy individuals with or without depressive symptoms.2018
Author(s)
Shimada M, Otowa T, Miyagawa T, Umekage T, Kawamura Y, Bundo M, Iwamoto K, Ikegame T, Tochigi M, Kasai K, Kaiya H, Tanii H, Okazaki Y, Tokunaga K, Sasaki T
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Journal Title
Journal of Human Genetics
Volume: 63
Pages: 319-326
DOI
Peer Reviewed
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