2016 Fiscal Year Research-status Report
ホスホジエステラーゼを標的とした精神疾患の新規治療法開発
Project/Area Number |
16K10198
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 教授 (50228144)
首藤 隆秀 久留米大学, 医学部, 講師 (70412541)
大西 克典 久留米大学, 医学部, 助教 (10626865)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ホスホジエステラーゼ / ドーパミン / うつ病 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
DISC1(Disrupted-In-Schizophrenia 1)遺伝子異常は統合失調症やうつ病等に共通するリスク因子と考えられている。これまでに、DISC1 遺伝子改変マウスの脳内で、ドーパミンD1 受容体シグナルを中心に、統合失調症やうつ病の病態を説明し得る異常を見いだしており、D1受容体刺激薬が治療効果を示すことを示唆する結果を得ている。本研究課題では、臨床応用可能な作用薬が存在しないD1 受容体に代わり、その下流のcAMP/PKA シグナルを制御するcAMP 分解酵素ホスホジエステラーゼ(PDE)の阻害薬を用いた新規治療法の開発を行っている。 本年度は、DISC1 遺伝子改変および慢性拘束ストレスに加え、個別飼育などの要因を組み合わせた各種精神疾患モデルマウスを作成し、ドーパミンD1 受容体シグナル関連分子やPDE 活性を始めとした細胞内シグナル伝達の解析ならびに行動学的解析を行った。 DISC1遺伝子改変マウスおよびその野生型マウスを、生後5週齢から集団飼育群と隔離飼育によるストレスを加えた群に分けて3週間飼育し、精神疾患との関連の大きい各脳部位(大脳皮質、海馬歯状回)における細胞内シグナルの変化を検討したところ、ドーパミンD1受容体シグナルに差があるような知見が得られた。 また、C57/BL6マウスへの慢性拘束ストレス負荷により、新奇環境摂食抑制試験(Novelty-Suppressed Feeding test) 、尾懸垂試験(Tail Suspension test)において、うつ様症状を呈する結果が得られ、生化学的検討により、ドーパミンD1受容体シグナルの変化もみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DISC1 遺伝子改変マウスの繁殖に当初の予定より少し時間を要してしまっているが、その他はほぼ計画通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、精神疾患モデルマウスの作成および行動解析、生化学的・分子的解析を行う。また、結果を基に精神疾患の治療ターゲットとして特定したPDE サブタイプの阻害薬を投与して治療効果を評価する。実際に動物個体レベルで影響しうるものであるかどうか否かを検討することにより各種精神疾患の病態および治療のメカニズムを探る。 さらに、走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)を用いた神経細胞の3次元的形態解析を行うための条件検討を行う。
|
Causes of Carryover |
研究成果の発表と情報収集のために、海外での学会への出席を予定していたが、次年度に延期したため、その分を持ち越すこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、ある程度の成果を持って、複数の学会での発表と情報収集を予定しているため、翌年度請求分と併せて旅費へと当てる予定である。
|
Research Products
(2 results)