2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K10199
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 俊光 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20373318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | てんかん / EFHC1 / コンディショナルノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性ミオクロニーてんかん(JME)は、思春期(8~20歳)に発症し、ミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする最も頻度の高い特発性てんかんの一つである。申請者らは、遺伝的連鎖解析、ポジショナルクローニングにより、第6番染色体短腕6p12から原因遺伝子の一つとして新規の遺伝子EFHC1の同定に成功した(Suzuki et al., Nature Genetics, 2004)。さらに、申請者を含む研究チームおよび複数のグループから、新たなJME疾患変異の報告が続いている (Medina et al., Neurology, 2008)。それらの疾患変異は、ヨーロッパ人のJME家系、イタリア人のJME 家系、白人の若年性欠神てんかん、潜因性の側頭葉てんかん、さらに非分類型の特発性全般てんかんから見つかっている。このことより、EFHC1はJME発症に関与しているだけでなく、特発性全般てんかんの痙攣誘発に広く関与している可能性もでてきている。有効な治療法の開発のためには、疾患成立機序を解明することが必要であることから、本研究では、EFHC1喪失による線条体での抑制性神経細胞数の変化がてんかん症状発症に寄与しうるかどうかを詳細に解析する事で、EFHC1変異が引き起こすてんかん発症メカニズムの解明につなげる知見を得ることを目的としている。本年度は、血清型の異なる複数のrAAVを用い、どの血清型のrAAVがマウスの脳室壁を覆う上衣細胞にrAAVが効率よく感染するのかを検討した。 Creリコンビナーゼ配列を組み込んだコンストラクトおよび対照用蛍光タンパクを組み込んだコンストラクトを用いて、感染効率の良好であった血清型のrAAVを作製した。さらに、上衣細胞にrAAVが効率よく感染する時期を検討するために、 複数のマウスの週齢においてrAAVを脳室内に導入し、発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血清型の異なる複数のrAAVを用い、どの血清型のrAAVがマウスの脳室壁を覆う上衣細胞にrAAVが効率よく感染するのかを検討し、標的とする上衣細胞に効率よく感染する血清型のrAAVが確認でき、また、rAAVが上衣細胞に効率よく感染するマウスの週齢、導入時期が決定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおりrAAVをマウスの脳室内に導入することで標的とする上衣細胞に効率よく感染させることが確認できたので、次年度以降は計画申請書で申請した研究内容に従い、Efhc1 floxマウスにrAAV-Creを導入したマウスの一部を使い、Myoclonin1の喪失を免疫組織染色で確認する。染色は、既報(Suzuki et al., 2008)に記載の手技、抗体を用いる。Myoclonin1の喪失を確認ののち、これらのマウスについて、我々の既報(Suzuki et al., Hum. Mol. Genet., 18:1099-109, 2009) に記載の手技に従い、自然誘発性のミオクローヌス発作、けいれん誘発剤の一つであるペンチレンテトラゾール (PTZ) に対する痙攣閾値を検証する。また、計画申請書で申請した線条体抑制性神経細胞数の変化の検討および定量的プロテオミクス解析による網羅的なタンパク質発現解析により変異ヘテロマウスと対照群間の違いを統計的に比較検討する。
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