2017 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド・オキシトシン受容体の遺伝型と養育態度が衝動性・情動欠如に与える影響
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16K10204
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大谷 浩一 山形大学, 医学部, 教授 (00194192)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精神病理学 / オピオイド受容体 / 養育態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝動性や情動欠如はパーソナリティー障害や様々な問題行動と関連し、これらの人格特徴は環境的要因と遺伝的要因およびそれらの相互作用により形成されると報告されている。一方、脳内オピオイド系と神経ペプチドのオキシトシンは、鎮痛、報酬、動機付け、社会認知、親子間の愛着関係など広範な生理機能の調節に関与している。これまでの基礎研究において、衝動性・情動欠如の形成にオピオイド受容体機能、オキシトシン機能、幼少時期の養育環境が関与することが示唆されているが、ヒトにおいて包括的に検討した研究はこれまでに行われていない。そこで、本研究では健常人を対象としてオピオイド受容体・オキシトシン受容体の遺伝多形と幼少時期の養育態度の相互作用が衝動性・情動欠如に与える影響について検討する。 具体的には、精神的および身体的に健常であるとスクリーニングされた日本人約1,000例を対象に、TCI、NEO-PI-R、PBIを用いて対象の衝動性・情動欠如、幼少時期の養育態度を評価する。対象の末梢血液を採取し白血球より抽出したDNAを用い、オピオイド受容体遺伝多形、オキシトシン受容体遺伝多形をPCR法により同定する。得られた結果よりオピオイド受容体・オキシトシン受容体の遺伝多形と幼少時期の養育態度の相互作用が衝動性・情動欠如に与える影響について検討する。 研究計画に基づき、平成29年度には対象の募集、衝動性・情動欠如の評価、養育環境の評価、静脈血採血・DNA抽出、資料収集・情報交換を行った。本年度に得られた結果の解析を行い海外雑誌に投稿して、2編の論文が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究計画に基づき、精神的および身体的に健常であるとスクリーニングされた日本人を対象に、TCI、NEO-PI-R、PBIを用いて対象の衝動性・情動欠如、幼少時期の養育態度を評価を行った。対象の末梢血液を採取し白血球よりDNAを抽出した。同時に資料収集と情報交換を行った。 本年度に得られた結果の解析を行い海外雑誌に投稿して、2編の論文が受理された。以上より当初の計画以上に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、研究計画に基づいて対象の募集、衝動性・情動欠如の評価、養育環境の評価、静脈血採血・DNA抽出、OPRM1遺伝多形、オキシトシン受容体遺伝多形の同定を行う予定である。収集したデータを用いて、1.遺伝多形がPBIで評価した養育態度に与える影響、2.遺伝多形がTCI、NEO-PI-Rで評価した衝動性と情動欠如に与える影響、3.遺伝多形とPBIの相互作用がTCI、NEO-PI-Rに与える影響、について統計解析を行う予定である。なお、計学的に、男女に分け、TCI、NEO-PI-Rを従属変数とし、PBIの父親・母親における愛情と保護の計4要因、OPRM1遺伝型、年齢を独立変数とした重回帰分析を行う場合でeffect side=0.15、α=0.05、検出力60%以上に必要な症例数は約800例以上であるため、800例を最低募集人数として研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、本研究で募集した対象者が少数であったため、採血、DNA抽出や遺伝解析用試薬等に要した物品費が少額であった。しかし、平成30年度には対象者数が増加する予定であるため、それらの物品費のために次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)