2016 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病におけるシグマ1受容体の関与とそれに基づいた治療法開発の研究
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16K10213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 喬 大阪大学, 保健センター, 教授 (10273632)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / シグマ1受容体 / ERストレス / 細胞死 / フルボキサミン / アミロイドペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、まずシグマ1受容体の細胞死抑止効果の検証を行った。シグマ1受容体をHEK293細胞に遺伝子導入して過剰発現させると、tunicamycinによるERストレスに抵抗性を示し、細胞死がMOCK導入細胞に比べて減少することが示された。すなわち、ERストレスによって誘導されるシグマ1受容体は一種のUPRとして細胞死抑止効果をもたらすと考えられた。 統合失調症やアルコール依存症ではシグマ1受容体のプロモーター領域における遺伝子多型が報告されている(T-485A、GC-241-240TT)。これら遺伝子多型を持ったプロモーターと野生型のプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子にヒューズしたレポーターアッセイ系を構築し、ERストレスによるシグマ1受容体発現について検討した。これら多型を持ったプロモーターでは野生型に比し、シグマ1受容体の発現が低く、ERストレスによるシグマ1受容体発現という生理的な細胞死抑止効果が抑制されていることが、これらの精神疾患の病態に関与していることが示唆されている。 以前の我々の検討で、SSRIであるフルボキサミンはシグマ1受容体を発現誘導することが示されている。従って、シグマ1受容体の発現は細胞死抑止効果をもたらすため、フルボキサミンにも細胞死抑止効果が期待できる。実際、神経芽細胞腫にフルボキサミンを投与しておくとERストレスによる神経細胞死を軽減できることが示された。更に、マウスの中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルを用いてフルボキサミンの細胞死抑止効果について検討した。脳梗塞巣のペネンブラ領域ではERストレスが起き、梗塞巣の拡大につながるとされているが、フルボキサミンの腹腔内投与により、閉塞24時間後の梗塞巣が減少していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該研究は追加交付であったため、実際の研究開始が11月以降となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、前年の遅れを取り戻すべく、動物実験と治療薬開発を並行して施行する予定である。
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Causes of Carryover |
追加交付であったため、当該年度の実験が次年度に繰り越されるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の積み残した実験費用に充てる。
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[Journal Article] Sleep disturbances are key symptoms of very early stage Alzheimer disease with behavioral and psychological symptoms: a Japan multi-center cross-sectional study (J-BIRD)2017
Author(s)
Kabeshita Y, Adachi H, Matsushita M, Kanemoto H, Sato S, Suzuki Y, Yoshiyama K, Shimomura T, Yoshida T, Shimizu H, Matsumoto T, Mori T, Kashibayashi T, Tanaka H, Hatada Y, Hashimoto M, Nishio Y, Komori K, Tanaka T, Yokoyama K, Tanimukai S, Ikeda M, Takeda M, Mori E, Kudo T, Kazui H
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Journal Title
Int J Geriatr Psychiatry
Volume: 21
Pages: 222-230
DOI
Peer Reviewed
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