2017 Fiscal Year Research-status Report
自閉症モデルマウスを用いて解明する聴覚性情動反応の調節機構
Project/Area Number |
16K10218
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹本 誠 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (20543408)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 島皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音に対する情動反応の調節の基盤となる神経回路およびその作動機序を解明することである。そのために、H28年度には、特定の音に対する過剰な恐怖反応が見られることが知られている自閉症に着目し、自閉症モデルマウスのひとつであるBTBR T+tf/Jマウス(BTBRマウス)を用いた実験系の構築を行った。その結果、二音弁別恐怖学習課題において、コントロールであるB6マウスで見られる安心行動(恐怖刺激と関連付けていない音に対する特異行動)がBTBRマウスでは見られないことが明らかになり、この安心行動を指標とした実験系の構築を達成することが出来た(第40回日本神経科学大会にて報告済、論文再投稿準備中)。H29年度には、B6マウスを用いた情動反応調節の基盤となり得る神経回路の探索を行った。その結果、我々が以前同定した島皮質聴覚応答領域からの神経連絡がある島皮質後部領域から、情動・自律神経反応の制御中枢である扁桃体・視床下部などの脳領域への複数の出力回路が層特異性を持って存在することが明らかになった(第41回日本神経科学大会にて発表予定、論文投稿準備中)。H30年度は、これらの神経回路の情動反応における役割を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
島皮質から情動中枢への皮質下神経回路が層によって独立していることを見出し、それぞれの回路に選択的に遺伝子導入する方法も既に確立できているため、計画通り、オプトジェネティクスを用いた機能探索に進める状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に確立した島皮質の回路選択的遺伝子導入により、オプトジェネティクスを用いて同定した各神経回路の情動行動における役割を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当初想定していたものより少ない実験回数により目標を達成できたため、次年度使用額が生じたが、次年度に難易度の高い実験を予定しており、計画より実験回数を増やす、あるいはアプローチを変更する必要が生じる可能性があるため、その場合に充てたいと考えている。
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