2018 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症早期発見のためのMMNの時間統合研究と原発事故影響の生理学的検証
Project/Area Number |
16K10219
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
矢部 博興 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60210316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 哲也 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90612713)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ミスマッチ陰性電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1の研究目的は、統合失調症早期発見バイオマーカーとしてのミスマッチ陰性電位(MMN)検査法を確立することであった。本研究では、脳波学上も発達途上にある統合失調症の好発年齢群に対して、精神病発症危険状態(ARMS)の検査を行い、統合失調症の異常検出に感受性が高いDuration(持続長)-MMN とTWI(時間統合)-MMNを測定する。第2に、原発事故後の福島県民に強い影響を与えた研究を検証している。本研究では、事故当時に思春期を迎え、現在は統合失調症の好発年齢に達した大学生を、居住区域毎に分けて、ARMS検査、MMN検査などを行い、低濃度放射線の脳生理学的影響の有無を検証している。 (1)MMN計測と脳波分析:MMN刺激を作成し、TWI-MMNを計測、時間関数として比較・分析を行ってきた。 (2)対象選別(A)2011年3月11日の東日本大震災を経験した対象をリクルートしてきた。(B)精神状態評価:<健常者群およびARMS群><統合失調症群>をリクルートしてきた。 聴覚情報の時間関数は、MMN振幅、MMN潜時、反応時間、反応精度の観点で、そのいずれでも後半部分が大きく減衰することを示してきたが、統合失調症では、感覚記憶のTWIの後半部分での障害が顕著に認められる。ARMS群でもその検討を行っているがまだ不十分である。Duration-MMN、TWI-MMNの分析を行い、部分的な成果を論文及び国際学会で報告している。
補助事業期間延長承認申請書を平成31年2月に提出し、補助事業期間を平成28年度~平成30年度から平成28年度~平成31年度への変更が承認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
統合失調症発症の早期異常検出のためにDuration(持続長)-MMNとTWI(時間統合)-MMNという検査法の最適手法の確立を目指すと同時に、原発事故影響の大脳生理学的検証を行っていたが、最適手法の確立に時間を要した。データ分析や公表にはさらに時間を要する。さらなるデータ集積も必要である。部分的な成果については、すでに論文及び国際学会で報告している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、統合失調症群、健常群と精神病発症危険状態(ARMS)群の計測、分析を行っていく。さらに、脳波分析に関しては、継続的に改良していく予定である。成果の発表に関しては部分的に、Duration-MMN、TWI-MMN、脳波分析を行い、部分的な成果を論文及び国際学会で報告していく。延長された平成28年度~平成31年度内に結果をまとめたい。
|
Causes of Carryover |
補助事業期間延長承認申請書を平成31年2月に提出し、補助事業期間の平成28年度~平成30年度から平成28年度~平成31年度への変更が認められた。
|