2016 Fiscal Year Research-status Report
社会経験で発達する前頭前野の局所的興奮・抑制性回路は治療ターゲットになるか
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16K10221
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10347560)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的経験 / 隔離 / 前頭前野 / 抑制性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究で、幼少期のマウスの隔離飼育が、マウス内側前頭前野第五層の錐体細胞のうち、h-currentという電流を有するタイプの錐体細胞における興奮性シナプス入力や興奮性の低下を導くことを示した。そこで今回、隔離飼育により錐体細胞における抑制性シナプス入力がどのように影響を受けるかを調べた。まず、錐体細胞への抑制性シナプス入力を調べるために、自発性抑制性後シナプス電流や微小抑制性後シナプス電流を記録し分析した。結果、日齢21日から35日の隔離飼育によって自発性抑制性後シナプス電流は有意に影響を受けることがあきらかとなった。興奮性シナプス入力について調べた前回の結果と同様に、この影響はh-curentを有する錐体細胞においてのみ観察され、h-currentを有さない錐体細胞については観察されなかった。興奮性シナプス入力の変化は発達期の日齢21日から35日の間の隔離飼育によってのみ発現し、それ以降の時期の隔離飼育では変化がみられなかったことをすでに報告しているが、それと同様に隔離飼育による抑制性シナプス入力の変化も特定の時期に感受性があることを確認した。今回の自発性抑制性後シナプス電流の変化は、前頭前野第五層の錐体細胞への介在ニューロンからの入力が変化していると考えられ、微小抑制性後シナプス電流ではなく、自発性抑制性後シナプス入力が変化していることからすると、介在ニューロンの興奮性の変化を表していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
隔離飼育による前頭前野第五層の錐体細胞における抑制性シナプス入力への影響もまず確認できており、次の研究へとつながる見通しが立ち、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
隔離飼育によりマウス前頭前野第五層の錐体細胞への抑制性入力が影響されることは確認したが、さらにその影響を受ける抑制性入力の源となる介在ニューロンについての同定を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入した機器が予定していたよりも安価で購入できたため実際の使用額が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後実験にて使用する予定である消耗品(蛍光物質)を購入し、従来の予定よりも実験回数を増やし、データをより洗練することを目指す。
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Research Products
(2 results)