2020 Fiscal Year Annual Research Report
Intergenerational transmission patterns of depression risk from mother to daughter in the structure of the default mode network
Project/Area Number |
16K10224
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山縣 文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30439476)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
岩波 明 昭和大学, 医学部, 教授 (80276518)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | うつ病 / 親子研究 / MRI / 世代間伝達 / default mode network |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度までに計34家族、78名の被験者から頭部MRIデータを取得した。具体的はうつ病既往のある現在寛解状態の両親とその健康な子供をリクルートし、11の母娘ペア、12の母息子ペア、11の父娘ペア、10の父息子ペアの4つの性別の異なる親子ペアに分別をした。まず最初に、それぞれの親子ペア内で灰白質の体積の相関を行い、default mode network(DMN)とcentral executive network(CEN)内に位置する前部帯状回、後部帯状回、中前頭回、上頭頂小葉、角回、中側頭回にて、母と娘のペアにおいて有意な正の相関をみとめた。しかし、他の親子ペアでは体積の相関は一切認めなかった。
DMNとCENは過去の脳画像研究より一貫してうつ病で機能異常を指摘されている。DMNはうつ病における反芻と関係をしており、情動処理に関与している。またCENはDMNの活動を抑制的に調節する機能が知られている。そのため、DMNの過活性とCENの低活性がうつ病の病態に関与している。本研究の結果より、うつ病に関与する脳領域において母と娘の脳構造が似ていることを示され、母がうつ病既往があると、その息子ではなく娘がうつ病を発症しやすいという従来より一貫して示されている発症リスクにおける性差を直接的に示す生物学的な証拠が示唆された。
本研究結果はすでに論文としてまとめられ、国際雑誌へ投稿中である。今後は、灰白質の構造だけでなく、機能的結合能や白質構造においても同様の解析を進め、さらに論文化をしていく予定である。
|