2018 Fiscal Year Research-status Report
双極性障害における白質障害の解明と早期診断にむけた有用性の検討
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16K10226
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
下田 健吾 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30277529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 真人 日本医科大学, 医学部, 准教授 (50186334)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精神医学 / 双極性障害 / 双極スペクトラムj障害 / 拡散テンソル / 白質変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は双極性障害の白質変化をとらえることで病態を探求し,光トポグラフィーと併せて早期診断のバイオマーカーとなり得るかという目的の下で開始された。当該年度は前年度に引き続き双極スペクトラム障害および双極性障害の症例を募集したが目標症例数を下回った。 本研究の準備段階で得られた症例を含め双極スペクトラム障害患者16例および双極性障害患者18例に両者の白質構造に相違認められるか拡散テンソル画像を関心領域の設定による解析および全脳によるtractbased spatial statistics(TBSS)法により比較検討を行った。 その結果,全脳解析(TBSS) の結果では白質の異方性を示すFA値の検討では上縦束および前部帯状束におけるFA値が双極スペクトラム障害群に比して双極性障害群で低値の傾向を認めたがその他の部位で有意差は見られなかった。前視床放線のROI解析では平均FA値や繊維のVolumeは健常群と比べて両群とも有意に低下していた。 症例も少なく,Ghaemiの提唱した双極スペクトラム障害に潜在的な双極性障害患者が含まれていた可能性もあるものの。双極スペクトラム障害は双極性障害と白質変化を見る限り同様の変化が見られ,類似した病態である可能性が示唆された。この結果は次年度の日本精神学会で発表する予定であり,同時に英語論文として投稿する予定である。 今後の展望としてより進んだ脳画像解析や誰にでもわかりやすく可視化することが必要であり,Voxel Based Morphometry(VBM)を用いた白質および灰白質の形態学的解析やネットワーク解析による相違も検証したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は光トポグラフィー検査および臨床的診断において双極性障害あるいは双極スペクトラム障害の患者を対象としているが,症例のリクルートおよび同意取得に難渋している。一つの要因としては光トポグラフィー検査は受けてもMRI検査にはつながらない症例が多いことや,MRI検査を希望しても光トポグラフィー検査を受けていない症例が多い。研究施設内での周知がなされていないことに起因するものであり,再度カンファレンスの開催などで研究内容の説明を行う必要がある。また同意が得られた症例は双極スペクトラム障害に合致する症例が多くを占めており,典型的な双極性障害の症例に対して今まで以上に工夫をして同意取得を目指す。 得られた画像から白質変化をとらえる解析は限定された症例の中で行っているが,当初予定していたよりも解析時間を要し,解析後の検討でも症例が少ないこともあり有意差の見られる部位が少なく。また有意差の見られる部位を脳アトラス上でうまく描出することに難渋している。当該年度の研究進捗では結果の意味づけが難しい段階であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
症例のリクルートのため,現在の病院のホームページ掲載のみならず,院内掲示や医局や連携施設の協力を最大限得ることを考えている。これまでに集積したデータとあわせて,健常群,双極性障害あるいは双極スペクトラム障害群は15-20例は確保されていることを踏まえ,拡散テンソル画像の解析について,局所解析であるROI法や全脳解析であるTract Based Spatial Statictics( TBSS )法によって統計学的検討をするとともに新たな解析法や結果をわかりやすく脳のマップに表示すことも必要である。 そのため,本年度より先端バイオイメージング支援プラットフォーム Advanced Bioimaging Support Platform (ABiS) 拡散MRI解析支援拠点に申請をして支援を受けることになった。このような支援体制の中で研究結果を誰にでもわかるように可視化して英語論文としてまとめることに力点を置く。
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Causes of Carryover |
本年度は当初の計画よりも同意症例が少なく,研究成果の国内外での発表が困難となり,英語論文作成に関わることがほとんど出来ず,予定していた旅費やその他の費用を計上することが出来なかった。また解析を進める上で本研究の画像解析には複数のPCやタブレットが必要であることがわかり結果として物品費の割合が多くなった。翌年度は症例数を増やす努力を行い,同意患者に対する謝金と英語論文作成のための英文校正費用に絞って予算を使用することを考えている。
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Research Products
(1 results)