2018 Fiscal Year Research-status Report
安静時脳機能結合に対する向精神薬等の作用モデル構築と臨床データでの有効性実証研究
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16K10233
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
八幡 憲明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 研究員(任常) (70409150)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 精神疾患 / 安静時脳機能画像 / 機能的結合 / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、向精神薬投与下の動物にマルチモダル磁気共鳴撮像法(MRI)脳計測を実施し、機械学習ベースの情報抽出技術を適用しながら、脳機能結合などの脳画像指標と向精神薬作用との間の関係性を定量的に表現できるモデル開発を目的としている。平成30年度は次に挙げる各項目が実施された:(1)マルチモダルMRIデータの取得ならびに行動実験の実施。前年度に引き続き、動物用7テスラMRI装置とマウス頭部専用クライオコイルを用いて、成熟マウス(C57種)の高精度脳構造画像、安静時脳機能画像等の縦断的取得を行った。撮像期間中、一部の個体には向精神薬(抗うつ薬など)の連続投与を行い、また期間前後に薬物効果を評価する行動実験を行った。抗うつ薬投与群においては、ワイルドタイプ群と5-HTT遺伝子ノックアウト群を設定することで、薬物による脳構造・活動の変容パターンを詳細に検討した。成熟マーモセットについてもMRIデータ収集を継続した。(2)前年度までに確立した安静時脳機能画像による脳機能結合評価指標を(1)で取得されたMRIデータに適用し、薬物投与群・非投与群の機能結合パターンの比較検討を行った。基底核・辺縁系を含む複数脳部位をノードに持つネットワークの活動パターンを用いることで、薬物投与の有無を客観的に自動判別できる方法論を開発した。(3)前年度に引き続いてヒト臨床データに対する検討を行った。機能的結合行列に対する適切な次元圧縮や共変量の補正等を行いつつ、機械学習による特徴抽出技術を適用することで、気分障害における抗うつ薬、統合失調症における抗精神病薬の服薬プロファイルに関連する機能的結合群が同定された。患者群において、抗うつ薬もしくは抗精神病薬の服薬の有無を統計的有意に判別できることが示された(AUC>0.7)。この結果の再現性や(2)の動物で見出された結合との関連性について、現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、解析とも概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた解析結果の再現性・信頼性について、追加データも取得しながら検証を進める。機械学習アルゴリズムについては改善・改良を随時行い、より予測精度の高いモデル確立を目指す。本年度は得られた研究成果の発表を推進する。
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Causes of Carryover |
【理由】研究成果発表に要する期間として当該研究費の実施期間を1年延長し、残額を令和元年度(平成31年度)へと繰り越した。【使用計画】主に成果発表の諸経費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)