2016 Fiscal Year Research-status Report
医療観察法における鑑定入院アウトカム指標の確立と検証に関する研究
Project/Area Number |
16K10242
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎名 明大 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任准教授 (70436434)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 医療観察法 / 鑑定入院 / アウトカム / 司法精神医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、先行研究により抽出された139 項目の「鑑定入院アウトカム指標」につい て、実際の鑑定入院対象者及びその関係者による評価を行い、その評価者間信頼性、妥当性、可用性、因子構造等を明らかにすることを目的としている。 平成28年度には近隣の鑑定入院医療機関において小規模のパイロットスタディを行い、評価者間信頼性と評価者から見た可用性等を明らかにすることとした。 研究協力施設において研究期間内に医療観察法により鑑定入院した患者、その家族のうち最も患者との関係性が深い者、患者に関わる医療従事者(鑑定医、主治医、担当看護師、鑑定入院医療機関の多職種チームの代表者、社会復帰調整官、付添人、対象者が入院又は通院する指定医療機関の担当者であって、本研究に同意した者を研究対象とした。主治医が研究参加を不適当と判断した患者ないしその家族は研究対象から除外した。先行研究により抽出された139項目の「鑑定入院アウトカム指標」について、実際のアウトカム指標の各評価者(患者本人、家族、医療従事者)に対し、指標それぞれについて質問紙を用いて評価を受けることとした。また患者に対してはEssenCES-JPNによる評価も受けることとした。さらに、各項目の可用性を検証するために、患者及び家族を除くすべての研究対象者に対し、すべての評価項目に関して、可用性の三基準を設定し、各5件法で回答を求めることにした。 我々は研究計画を千葉大学大学院医学研究院の倫理審査委員会に提出し、研究計画の承認を受けた。そして、千葉県及び東京都に所在する計7施設を研究協力施設として便宜抽出し、各々においても倫理審査を受審した上で、事例のデータ収集を開始した。予定組み入れ事例数は20例である。 平成29年度末現在で、計14例の仮登録を受け、うち11例の患者本人から同意を取得したところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、平成28年度においてパイロットスタディを行い、平成29年度以降はその結果に基づきアウトカム指標を修正したものを用いて全国調査を行うこととしていた。パイロットスタディの目標症例数は20例である。平成28年度末現在、仮登録14例、同意取得11例と、未だ20例には達していないが、研究は進捗中であり事例は概ね定期的に発生しているため、現在の取組みを続ければ、遅くとも平成29年度上半期中にはパイロットスタディを完了できる見通しである。パイロットスタディの結果から、平成29年度に引き続き実施予定である本調査を円滑に遂行するのに有用な知見も示されていることから、平成29年度の研究実施に特段の支障はない。以上を勘案して、本研究の進展は完全に計画通りとはいかぬもののまずまず順調であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、平成29年度においては引き続きパイロットスタディを継続し、事例の収集が終わり次第、結果を分析する。そして得られた知見に基づき、アウトカム指標のリストを改編し、全国調査に移る。現行のアウトカム指標の項目の中で、信頼性、妥当性の低いと考えられる項目を省略することにより、データの精度を保ちつつ収集効率を上げることが可能であると考えられる。全国調査は平成29年度中には完了しない見込みであるが、可能な限り多数の事例を収集することにより、平成30年度で行うべき作業を減らし、解析のための十分な時間を確保するよう努める。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では本年度中にパイロットスタディを完了する予定であったところ、平成28年度末時点で事例の収集が完了しておらず、引き続き作業を行うため、かかる費用(謝金、旅費等)を次年度に繰り越すこととしたい。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者への謝金に概ね40,000円(500円*80回)を、旅費に概ね41,420円(平均2,121円*20回)を充当する予定である。
|