2018 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴画像検査を用いたせん妄発症の予測とその薬理学的な予防法に関する臨床研究
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16K10245
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
車地 暁生 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (00251504)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 術後せん妄 / 頭部MRI / 準備因子 / SPM |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年7月から2018年11月までの期間に、本学医学部付属病院において、本学医学部倫理審査委員会に承認された臨床研究(観察)を行った。106名の患者をリクルートし、104名において、研究計画通りに実施した。この研究では、心臓血管外科で計画的な手術を行う患者を対象として、せん妄に関与すると考えられる準備因子だけでなく、術前に頭部MRI検査を施行し、術後に、身体的および精神的状態、特にせん妄の発症の有無に関して、精密な臨床的経過観察を行った。また、せん妄発症に関与する可能性のある手術中および手術後の医学的情報も収集した。 上記104名の患者の内、58歳以上の患者(せん妄の発症に関与する年齢を考慮)、91名を対象としたが、この内の13名がせん妄を発症した。従って、せん妄群(13名)と非せん妄群(78名)との比較について、統計学的解析を行ったところ、準備的な危険因子としては、加齢、アルコール飲酒(現在)およびMMSEの低値が示唆された。その他、手術中および術後の医学的な項目では、せん妄群のほうが有意にICUでの治療期間が長かった。 頭部MRI検査の画像情報(T1)を用いて、SPM8の画像処理システムによって、各脳部位の灰白質の体積を算出し、せん妄群と非せん妄群の比較を行ったところ、側頭葉や辺縁皮質において、せん妄群が有意に灰白質体積が減少していた。 今回の研究結果は、我々が以前に報告したもの(Shioiri et al., 2016, Am J Geriatr Psychiatry 24(7))とほぼ同様であったことから、その再現性が確認され、術前の大脳皮質の灰白質の体積が減少していることが、心臓血管手術の術後せん妄の準備的および危険因子である可能性を強く示唆した。 現在、この研究結果を学術論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の研究の実施および研究解析については、ほぼ完了しており、学術論文への投稿への準備を着実に進捗させている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究は完了しており、特に推進方策の考慮は要しない。
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Causes of Carryover |
最終的な論文投稿に向けて、症例追加の若干の可能性があったことや、コンピューターソフトの補填などの雑費、論文投稿費用、研究結果の発表(海外を含む)の諸経費が予定されている。
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Research Products
(5 results)