2019 Fiscal Year Annual Research Report
To identify risk genes for Autism Spectrum Disorder : Whole-exome sequencing in three pairs of affected siblings.
Project/Area Number |
16K10246
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁谷 雅子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70631620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / エクソーム解析 / 多発罹患家系 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)の罹患者が複数いる家系においては、その発症に重要な役割を果たしている稀な変異が存在する可能性が高いと考えられる。ASDの発症に大きな影響力をもつ稀な候補リスク変異を同定するために、我々はASD罹患同胞対3ペアのエクソーム解析を実施した。本研究は新潟大学遺伝子倫理審査委員会で承認されており、対象者または親権者から書面にて研究参加の同意を得た。 対象はASD罹患同胞対3ペアの計6人である。対象者のゲノムDNAについて、SureSelect V6キットで全エクソームを濃縮し、HiSeq 2500システムでシーケンスした。候補変異のフィルタリング条件は、①各家系内で罹患同胞2人が共有する、②機能的意義を有する可能性が高い(ナンセンス変異、フレームシフト変異、スプライス部位変異、ミスセンス変異)、③アレル頻度が1%未満、④ASDリスク遺伝子のデータベース(SFARI Gene)においてカテゴリー1(高信頼度)に分類される遺伝子の変異、とした。 ANK2遺伝子Tyr3907Ser変異が、家系#1の罹患同胞2人において同定され、非罹患者の父から伝達されていた。この変異は、機能予測ソフト(PolyPhen-2、SIFT)により有害と予測された。 ASDの発症に大きな影響力をもつ可能性がある候補リスク変異として、ANK2遺伝子Tyr3907Ser変異を同定した。ANK2遺伝子がコードするアンキリンBは、グルタミン酸神経系のシナプス後肥厚に発現しており、シナプスの可塑性に関与している。 ANK2遺伝子Tyr3907Ser変異は、シナプスの可塑性の異常を惹き起こし、最終的にASDの発症に至るのではないかと考えられる。
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