2019 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域における高齢ひきこもり者の実態把握と地域介入を柱とする包括的支援策の提言
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16K10258
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 耕太郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00337156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ひきこもり / 地域介入 / アウトリーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も、昨年までの活動を継続し、介入対象地域で地元の精神保健関係者と共に、地域を巡回し、家庭訪問と保健所など地元施設を利用し、ひきこもり者本人および家族との面談を繰り返した。1年間で、洋野町では新たに4人、久慈保健所では、新たに2人のひきこもり者本人・家族との面談を行うことができた。久慈市山形地区および野田村では、新規の対象者は見いだされなかった。他に、ひこきこもり予備軍である不登校の中学生・高校生との面談を4名、行うことができた。ひきこもり者の年齢は、30歳代が1名、その他は40歳代であった。 継続ケースの面談には特に力を入れ、本人・家族との面談は述べ80回以上行った。就労が始まったケースについては実際に職場を訪問し、就労を受け入れた事業所責任者や、現場での指導者(上司)とも面談し、継続して関与し支援することを伝えた。 研究で得られた知見を学会発表するための準備に取りかかった。データが揃い、継続的な関与と就労支援を含む包括的な支援を行っている洋野町の事例を調査対象とすることとした。巡回活動により1年以上継続的に関与できている27例が抽出された。それらについて、年齢性別等の基礎データに加え、ひきこもり期間、精神科受診の有無、受診ありの場合の診断、本人との関与が出来たか否か、2019年12月末時点で転帰について集計した。本人と直接関与できなかったのが4例あったが、家族への関与が十分に出来た場合は、調査対象とした。 データの詳細は2020年6月の日本精神神経学会第116回学術総会で発表すべく、演題を応募し採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アウトリーチ活動によりひきこもり者本人・家族とコンタクトを取る、という基本方針で、4年間で50例以上のケースとコンタクトを取ることができた。当初の目標とした80例には届かないと思われるが、一定数のひきこもり者本人・家族に関与し、就労や医療的支援に結びつけることができたことと、学会発表に必要なデータが整いつつある。特に、ひきこもり期間が20年以上の長期に及ぶ事例についても、社会適応の改善が得られるなど、個別事例の観点からは目を見張るべき成果があったといえる。 問題点としては、家族への支援が、個別面談中心であり、当初計画したCRAFTを実施するには至らなかったことである。その主たる理由は、予算上の制約があり、心理専門職の関与を実現できなかったにある。
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Strategy for Future Research Activity |
学会発表のために、既存データの分析を重ね、良好な予後に繋がる指標を抽出する。データを補強したり、事例報告につなげるため、最終年度も予算の許す限り、地域でのアウトリーチ活動を継続する。 ただし、2020年2月以降以降、新型コロナウイルス肺炎の流行に伴い、地域を訪れることができなくなっているため、場合によっては入手済みのデータのみに拠って、学会発表および論文執筆を行うことも考えている。
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Causes of Carryover |
消耗品の調達課程で、当初予算を若干下回る価格での購入ができたため、余剰が生じた。必要な物品を次年度に調達することとする。
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Research Products
(4 results)