2021 Fiscal Year Annual Research Report
Proposal of comprehensive support measures centered on grasping the actual situation of elderly hikikomori in depopulated areas and regional intervention.
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16K10258
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 耕太郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00337156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ひきこもり / 地域精神保健 / 地域介入 / 支援一体型調査研究 / 精神科診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象地域で自治体の精神保健関係者と連携して、本人面談のためのアウトリーチ活動、保健所や地域の拠点を利用しての家族面接、病院デイケアおよび外来での元ひきこもり者の実態調査を行った。アウトリーチ活動により関与した事例は実数で60名を超えた。また、ひきこもり防止の観点から不登校状態の小・中高生の本人・家族面接も実数で10名あった。 これらと並行して、対象地域で啓発活動や支援者向け研修会などを繰り返し開催した。その結果が新たな事例の掘り起こしに繋がった。また、農園や工房で長期ひきこもり者の就労場所を開拓し、その効果を検証することができた。 対象者のデータを分析し、その結果は日本精神障害者リハビリテーション学会(2016、2018)、日本精神神経学会学術総会(2017、2020)、岩手公衆衛生学会学術集会(2018)で発表した。特に、1つの自治体に絞ってデータを整理し詳細に分析した。その結果は、アウトリーチ活動対象者が27名(うち本人面談できたのが23名)、その平均年齢は39.0歳、ひきこもり期間は平均13.0年であった。ひきこもり状態を先行研究に倣い4段階に分け、通院通所(就労移行支援など)が自力で行える以上の状態を脱ひきこもりと定義したところ、介入により27例中18例がひきこもりから脱し、9例が就労に至っていた。医療機関を受診し診断が付されたものは12例、診断内訳はF2:3名、F3:6名、F7:1名、F8:2名であった。高齢になるほど、またひきこもり期間が長引くほど改善は難しくなるが、ひきこもり期間が26年の事例は支援により地域に定着できた。 コロナ禍により、2020年2月を最後に対象地域でのアウトリーチ活動や面接は全て延期され、2021年度末まで再開は叶わなかった。今後はこれまでの成果を論文化した上で、地元の精神科病院の支援と外部資金を得て、支援一体型の調査研究を継続する予定である。
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