2017 Fiscal Year Research-status Report
経皮的冠動脈形成術および冠動脈バイパス術の冠血流予備能に対する効果の検討
Project/Area Number |
16K10264
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
納谷 昌直 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20455637)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 冠血流予備能 / 冠動脈疾患 / PET / SYNTAXスコア / 経皮的冠動脈形成術 / 冠動脈バイパス術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究の目的は、データベースへの患者登録である、ほぼ目標症例数の77例の登録を行い、冠血行再建術前と後の冠血流予備能 (CFR)を測定した。5名脱落し、72例(至適内服治療群 [OMT, n=24]、経皮的冠動脈形成術群 [PCI, n=28]、冠動脈バイパス術群 [CABG, n=20])の治療前の結果を解析した。機能的CFRと冠動脈の解剖学的な重症度であるシンタックススコアおよびリーマンスコアとの関係を評価したところ、それらは有意な負の相関を認めた(P=-0.38, P<0.001)および(P=-0.31, P = 0.008)。 PCI群とCABG群において、治療のSYNTAXスコアの低下が有意に得られた。CFR値はOMT群(2.38 [IQ 1.83-2.80] vs. 2.42 [1.74-2.65], P=0.44)、PCI 群 (2.03 [1.70-2.78] vs. 2.23 [1.81-2.50], P=0.64)、およびCABG群 (1.67 [1.14-1.96] vs. 1.98 [1.60-2.39], P<0.001)と変化した。ベースラインのCFR値はCABG群で有意に低値であり、冠動脈疾患の重症度を反映した。治療効果を比較したところ、CABG群でのみ改善が得られた。 今回の検討から、CABG群では冠動脈の重症度が強く、従ってCFRも高度に低下していた。また、CABG群では有意なCFRの改善が得られることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の平成28年度と29年度の予定は完了し、平成30年度の予定も進行している。臨床研究の申請および画像解析プログラムの改良(平成28年度)院内の自主臨床試験への研究プロトコールを申請し、承認を得た。最初に、画像解析プログラムの精度を高め、患者でも正確に冠血流予備能が測定できることを目的とした。24名の冠動脈疾患患者と年齢があった8例の健常ボランティアを対象とした。PET/CT装置にて、500MBqの15-酸素標識水を投与し、安静時とATP負荷時の心筋血流量を測定した。その比から冠血流予備能を算出した。結果は、対象者全員で冠血流予備能を測定することが可能であった。年齢の冠血流予備能は健常ボランティアと比較して有意に低下し、有病患者の検出に有用であることがわかった。現在、欧米雑誌(EJNMMI Res)に採択された。 データベースへの患者登録 (平成29年度分)90例の冠動脈疾患を対象とした前向き観察コホート(経皮的冠動脈形成術および冠動脈バイパス術の冠血流予備能に対する効果の検討)のための患者登録データベースを作成した。北海道大学病院および関連施設の循環器内科にて同意が得られた冠動脈疾患の疑いあるいは既往のある患者の登録を開始し、77例の症例が集まった。これらの患者では初回のPET/CT検査が行われ、治療前の冠血流予備能の測定ができた。現在、欧米雑誌に1編論文投稿中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的に従い、下記の検討を行う予定である。 1.生活習慣病是正の冠血流予備能に対する効果の検討 生活習慣病により、冠微小血管での負荷時血管拡張機能が障害され、結果として、冠血流予備能が低下することが知られている。今回の研究では、生活習慣病を有する患者において、至適内服治療の冠血流予備能に対する効果の程度を確認する。冠血流予備能の改善が確認でき、その程度を定量的に評価することができれば、冠動脈疾患患者の個別化診療の実現に貢献すると考えられる。 2.冠血行再建術(経皮的冠動脈形成術あるいは冠動脈バイパス術)の冠血流予備能に対する効果の検討 冠動脈狭窄が70%より高度になると、心筋虚血が生じ、冠血流予備能も低下する。冠血管再建術は心筋虚血を改善することから冠血流予備能も改善することが予測されるが、詳細は明らかではない。従って、本研究において冠血行再建術の効果を冠血流予備能に注目し、検討する。さらには、冠血流予備能改善に寄与した因子を臨床所見、内服薬および血行再建術から検証し、効果的な血行再建術と内服治療の組み合わせを解明できると期待される。
|
Causes of Carryover |
納品が遅れたため。消耗品費として来年度使用する
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] PET/CT scanning with 3D acquisition is feasible for quantifying myocardial blood flow when diagnosing coronary artery disease2017
Author(s)
Osamu Manabe, Masanao Naya, Aikawa Tadao, Masahiko Obara, Keiichi Magota, Markus Kroenke, Noriko Oyama-Manabe, Kenji Hirata, Daiki Shinyama, Chietsugu Katoh, and Nagara Tamaki
-
Journal Title
EJNMMI Research
Volume: 1
Pages: 52
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-