2016 Fiscal Year Research-status Report
ロボット支援腎部分切除術の基準解剖自動認識と腎機能予後判定一体評価システムの構築
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16K10278
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 哲 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (40311758)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低エネルギーCT / dual energy CT / ロボット支援腎部分切除術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は評価に適する撮像法の開発と標準化、解析法の開発をすすめた。腎全摘出術前では動脈本数の確認で十分であるが、部分切除術では腫瘍栄養血管同定のため、腎実質内の動脈分枝走行の確認が必要となる。腎実質が造影される前に撮像を終える高速撮像と、実質より強い動脈のCT値をえる高い造影コントラスト撮像の両立が必要とされるが、我々は70kVによる低エネルギーCT撮像が有用であることをpreliminaryに確認し、2015年に北米放射線学会で発表しているが、症例蓄積により実際に部分切除を終了した症例が80例を越え、本撮像法により、腎実質内動脈分枝が安定して描出される事が臨床例で確認できた。そのため当初計画にあった非造影MRAの検討は不要と判断した。 腫瘍と腎杯の距離測定も腎杯損傷を予測する重要な評価項目であるが、造影剤が尿路に排泄される排泄相では、腎実質の造影効果は弱まり腫瘍は不明瞭となる。Dual energy CT撮像による仮想単色X線の40keV画像を応用することで、排泄相でも十分な腎実質の造影効果(CT値の上昇)を得ることができ、尿路と腫瘍を同時に描出させることに成功し、その方法論についてESUR 2016, ECR 2017で報告した。 このように平成28年度では撮像法・画像処理法を早期に確立でき、統一したプロトコールで術前検査を行うことができ80余例の部分切除例が蓄積された。3Dプリンタによるファントム作成も当初予定していたが、十分なバリエーションをもつ臨床例を蓄積できたため、実臨床データを用いた画像解析の開発を進めた。70kV撮像では動脈のCT値は従来の2倍近くなり、従来の血管自動トレース機能の適応が難しいことが判明したため、ZIO株式会社と共同で、より高いCT値にも対応できるよう血管自動追尾機能を改良し有用性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定より進んでいる点:撮像法の確立については、当初preliminaryに試みていた方法で必要十分な血管と腎盂・腫瘍の造影コントラストが得られる事が確認できたため、非造影MR angiographyもふくめ特に撮像法の比較検討を行う必要がなくなり、統一条件による症例蓄積が当初の予定以上に早く進んだ。その結果、ファントム作成の必要性や非造影MRAによる検討などを行う必要がなくなり研究促進に寄与した。 予定より遅れている点:その一方で、既存解析ソフトで対応できると思われていた血管自動追尾、およびセグメンテーションについて、血管のコントラストを向上させるために応用した70kV低エネルギー撮像の影響で、血管のCT値が従来の撮像法の2倍程度の数値となり、従来のCTAでは想定外の値となるため、ソフトウエアが血管を骨と誤認して認識できないことが判明した。当院で臨床使用しているワークステーション会社に依頼してソフトウエアの改良を依頼したが、その開発にやや時間がかかった。平成28年度後半から新たな改良されたソフトウエアの有用性を確認中であるが、Preliminaryな解析では、改善はあるもののまだ十分とはいえず、さらなる改良の必要性を検討している。 また研究協力を予定していたスタッフの異動があり、当院での画像解析ソフト開発環境の活用を、本年度は十分に開始することができなかった。 撮像法の早期確立により、症例蓄積が予定をこえて進んだため、ファントム作成、MRA検討を省略できた点で予定より進行は早まったが、解析ソフトの確立に当初の予定以上に時間を要しているため、総合的には、若干遅延していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
症例の蓄積状況は、当院での手術例の豊富さと、研究対象とする腎部分切除術がロボット支援下腹腔鏡下腎部分切除術として保険収載されたこともあり、予定を上回る速度で症例の蓄積が進んでおり、引き続き泌尿器科と協力して、手術時の記録や合併症、術後経過・機能評価などの臨床データの蓄積も進めていく。画像解析ソフト開発環境の活用の遅れは、本開発環境を提供するシーメンス社の研究員との協力をすすめ、解析ソフトの開発を促進していく。平成29年度前半中に画像解析ソフトの評価版の完成を目標としている。平成28年度における当院の症例蓄積の状況からみて、画像解析ソフト完成時には100例を越える手術例が臨床データとして解析可能な状態となるため、ソフトウエアの完成し次第に豊富な臨床例の検討に早急に入る。 また今回利用する画像解析ソフト開発環境は、ソフトウエア開発が終われば、同一開発環境を有する全世界の利用者間で、アプリケーションを共有できるソフトウエア配信機能を有している。多施設共同研究を行うにあたって、解析法を広く配布するために有用なシステムであり、また当院の泌尿器科は、日本泌尿器科学会理事長を有する国内でも有数の指導的施設であり、腎部分切除に関する泌尿器科における多施設共同研究の中核施設でもある。この環境を利用して解析ソフトウエアの確立後に、国内外の泌尿器科・放射線科と共同で、ソフトウエアの評価を行う多施設共同研究を計画する予定としている。
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Causes of Carryover |
画像解析ソフト開発に遅れがあったため、今回導入したパソコンには既存の小型モニターを仮接続して、画像の確認をおこなっていた。モニターは刻々と機能向上と価格低下があるため、必要性が高まった段階での購入を考え、画像解析に関わるPC一式のうちの、詳細評価・表示用の高精細モニターの購入は控えていた。 その一方で、症例蓄積が予想以上に早まったため、撮像法の確立についての検討が早まり、成果報告の国際学会出席が前倒しとなり、モニター購入に充てる予定であった金額のうちの一部を旅費にあてたが、差額として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、画像解析ソフトの精度が確認でき、大画面高精細モニターでの画像処理を連続的に行うことができる状態になった時点で、モニターを購入する予定である。
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[Journal Article] The differences between bisecting and off-center cuts of the aortic root: The three-dimensional anatomy of the aortic root reconstructed from the living heart.2017
Author(s)
Mori S, Anderson RH, Tahara N, Izawa Y, Toba T, Fujiwara S, Shimoyama S, Watanabe Y, Nishii T, Kono AK, Takahashi S, Hirata KI
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Journal Title
Echocardiography
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Low-kV CT Can Reduce the Frequency of Acute Adverse of Intravenous Iodine Contrast Medium.2016
Author(s)
Maebayashi T, Takahashi S, Nishii T, Kono A, Negi N, Kagawa K, Suehiro E, Tani W, Sekitani T, Kawamitsu H, Sugimura K.
Organizer
Radiological Society of North America
Place of Presentation
Chicago, USA
Year and Date
2016-11-27 – 2016-12-02
Int'l Joint Research
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