2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathogenesis of radiation-induced liver injury to enhance the efficacy of radiotherapy for hepatocellular carcinoma
Project/Area Number |
16K10289
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 真広 日本大学, 医学部, 教授 (20296700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 和司 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 診療教授 (50237799)
武田 篤也 東海大学, 医学部, 客員教授 (80296699)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 肝 / 放射線治療 / 超音波 / MRI / 病理学 / 肝実質障害 / RILD |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌の体幹部定位放射線治療(Stereotactic body radiotherapy;SBRT)は平成16年より保険適応となり、平成25年版の科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドラインでは、肝細胞癌に対するSBRTは他の局所療法の適応困難な肝細胞癌(長径5cm以下で転移病巣なし)に対して検討してよいとされる。本研究は肝細胞癌の放射線治療後に生じる肝実質障害(病態としてはRadiation-induced liver disease; RILD、画像変化としてはFocal liver reaction;FLRという)のMRI、超音波画像、病理所見を解析することを主眼とした。画像所見の取得は容易であるものの、病理所見を得られる(針生検、切除標本)患者は少ないものの、5例の生検患者、1例の肝切除患者がおり、FLRの病理学的所見、画像的所見をまとめた。FLRの病態モデルとして、放射線治療後の内皮細胞の直接的な損傷により、変性と落屑を伴う類洞の拡張が見られ、肝細胞と内皮が脱落したため、門脈が接近し、同時に肝動脈が増加し、放射線治療後に肝細胞癌の周囲にFLRが生じたと考えられた。 また画像としては放射線治療後3か月くらいまではFLRが見られないが、FLR出現後にはある程度の期間(1年以上)の持続が見られている。造影エコーでもEOB-MRIでもRILD領域は濃染を示すことが判明した。またKupffer機能や肝細胞機能は低下していることも判明した。経時的に変化しうる所見であり、それは肝実質の病態を反映したものであると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように、肝細胞癌の放射線治療後における画像取得は容易であり、データ収集は十分に行われているが、病理所見は再発疑いや新規病変の際に針生検を施行しなければならない患者に対して医療的な必要性のもと行われているため、症例は少ない。しかしそれらを解析することにより、次第に重要な所見が得られてきたため、おおむね順調に進展した。しかし前向き研究で、RILDの予防的治療法とされる低分子量ヘパリン等の投与が画像上RILDを改善するか明らかにするという目的は達成できなかった。患者に対する治療という観点で倫理的なハードルが高いため、研究年度内に施行は難しかった(当初予期できない事項)。
|
Strategy for Future Research Activity |
学術論文が受理された(Okada M, et al. Pathological appearance of focal liver reactions after radiotherapy for hepatocellular carcinoma Case Report Diagnostics, 2022, 12(5), 1072)。COVID19の影響により本研究の症例を増やすことが難しかったこと、肝臓病理放射線カンファレンスが開けなかったことなど予想できなかったことも生じた。すべての症例は研究分担者である沼田和司が横浜市大市民総合医療センターであり、今後研究対象を広げて検討を行う必要があれば同病院との共同研究を続けていく所存である。 もう一人の研究分担者(武田篤也)は日本で最も肝細胞癌の放射線治療を行っていることから、症例はさらに増えていく可能性が高い。今後も肝細胞癌の放射線治療を安全に受けることができるように画像診断的に検討を加えていきたい。
|
Causes of Carryover |
国際学会参加を控えたため、次年度使用額が生じている。次年度もCOVID19の影響があるため不透明である。投稿時に有料な論文投稿などの費用に充当したいと考えている。
|
Research Products
(3 results)