2018 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental evaluation of postmortem enhanced CT image and histopathology
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16K10290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
兵頭 秀樹 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30306154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 講師 (00466450)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 死後画像診断 / 死後CT / 死後造影 / 肺血栓塞栓症 / 急性冠症候群 / 外傷 / 内因死 / 外因死 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純CTで行える死後画像診断の評価限界を超えた急性冠症候群や肺動脈血栓塞栓症に代表される血管性病変に対し、死後造影CT画像・MRI画像撮像による定量・定性評価並びにその実務利用を行うことを本研究の目的とした。 家兎を用いた実験的検討により、救命処置により生じる輸液が肺野濃度の上昇を生じることが明らかとなり、輸液量によって肺野の濃度上昇には統計学的な有意差が生じること、輸液量が25 ml/kgでは肺野濃度は投与前と統計学的に変化がないことが明らかとなった。この実験結果より、従来まで行われてきた死後造影CTによる大量輸液では、薬毒物評価に必要な指標としての肺重量が不明確になることが明らかとなった。肺野濃度上昇が生じる機序としては、含気良好域並びに肺水腫中程度域の肺野に液体漏出が生じやすく濃度変化を生じる主な領域であることが明らかとなった。 以上の動物実験で得られた知見を基にご遺体に対して肺重量を変化させない(最小限に止める)造影法として、非造影CT撮影後、血管確保を行い、希釈造影剤を用手的に注入する方法を考案し、動脈あるいは静脈から造影剤を注入し繰り返しCTを撮影し、血管病変が何れから生じたものかを容易に判定でき、かつ肺重量の変化を最小限に抑えられる利点がある。 ご遺体34名に本法による死後造影CTによる死因究明を実施し、血管損傷の有無について解剖所見をgold standardとした評価が可能であった14例では、sensitivity 80.0%, specificity 100%, accuracy 92.9%と良好な結果を得ることができ、血管病変が考えられる事例に対し実用可能な方法と考えられた。 以上より、解剖所見(特に肺重量)に与える影響を最低限に抑え、なおかつ血管損傷を明確に同定可能な造影法の有用性が明らかとなり、今後の死後画像診断への応用に更に期待できるものと考えられた。
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