2017 Fiscal Year Research-status Report
肝特異性造影剤の排泄分子機構を利用した肝がん放射線照射マージンの可視化
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16K10332
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山口 雅之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (90450577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴画像(MRI) / 肝がん / 放射線治療 / 画像診断 / 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線照射により、肝特異性造影剤の一つである超常磁性酸化鉄ナノ粒子(Super-paramagnetic Iron Oxide Nano-particles;SPIONs)が、通常より長期間、マクロファージ系細胞のライソゾームに残存し、MRIの信号を変化させることを、細胞生物学的に初めて明らかにした。ライソゾームにおけるSPIONsの分解には、酸性度および鉄イオンと結合可能な低分子化合物の存在が重要とされる。本研究では、SPIONsを集積したマクロファージ系細胞(以下、SPIONラベル細胞)に対し、様々な強度の放射線を照射し、同細胞内の酸性オルガネラの時間的変化とSPIONsの残存との関連、及び、同細胞のMRI信号の時間的変化を調査した。 SPIONsは、ライソゾームにおいてクラスター化しており、細胞のT2緩和時間とT2*緩和時間が短縮した結果、MRI上、低信号に見えた。本研究成果は、専門の学術雑誌に投稿準備中である。 放射線照射によりSPIONsがライソゾームに残存し、MRI信号を変化させるメカニズムを解明することを通して、肝がん放射線照射マージンの可視化の技術開発が促進すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに、マクロファージ様細胞を利用したインビトロ実験を精力的に実施し、放射線照射後に、肝特異性造影剤(超常磁性酸化鉄)の排泄遅延が生じることを、細胞生物学的に初めて明らかにしたうえ、この排泄遅延と、酸化鉄の分解に寄与する分子との関連を見出し、肝臓MRI診断の新たな利用法創出に向け、重要な新知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に調査したマクロファージ系細胞に加え、生体内より回収したマクロファージを利用し、細胞生物学的な実験を推進する。こうすることにより、得られた成果を、臨床応用しやすくなると期待される。 動物実験では、臨床と関連性のある放射線照射線量で、コンセプト通り、照射マージンが描出可能か、テストする予定である。
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Causes of Carryover |
当初計上していた海外学会旅費や投稿論文の英文校正費用等が当該年度に発生しなかったため。 次年度は、当該年度の研究成果を学会、論文を通し、発信してゆく予定であり、学会旅費や投稿論文の英文校正費用に使用する予定である。
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