2016 Fiscal Year Research-status Report
メタボロミクス解析による急性放射線骨髄障害の重症度予測因子の探索
Project/Area Number |
16K10339
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20514136)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メタボロミクス解析 / 急性放射線骨髄障害 / 放出パーターベーション / 被ばく医療 / 重症度予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
高線量率放射線被ばくを原因とする急性骨髄障害は、その症状の閾値がICRPより勧告されているものの、その被ばく線量と重症度が不一致な事例がしばしばみられる。研究代表者は末梢血における生理活性因子の影響を受けやすい造血細胞の放射線照射解析から、被ばくによる刺激で各臓器から放出される代謝産物の放出擾乱(パーターベーション)が造血細胞の放射線感受性を修飾していることを示唆した。本研究課題は、その動態の詳細をメタボロミクス解析技術により解析を進め、急性骨髄障害の重症度を予測する因子を解明することを目的とした。 平成28年度はC57BL雄マウスモデルを用いて、X線発生装置を用いて8グレイ以下の各条件における放射線全身被ばく条件下の血清及び尿を継時的に回収した。また、末梢血は造血前駆細胞及び成熟血球の解析をするため、ヘパリンリチウム処理を行いながら採血を行ない、分化特異的な表面抗原発現の解析(フローサイトメトリ―)を実施した。また、同時に先行知見を含む情報を収集するため、各専門学会にて情報を行なった。 得られた尿中サンプル及び血清サンプルは、質量分析の工程へと進んだが、現在得られた情報を統計解析ソフトにて解析中である。また尿サンプルにおいては、酸化ストレス及び各損傷/修復マーカーとして知られている8-OHdGについて測定を実施した結果、被ばく後3日以内において致死線量に一致した有意な濃度上昇がみられた。被ばくマウスの骨髄中分画(sub-population)解析をフローサイトメトリ―にて実施した結果、骨髄系分画において被ばく線量に応じた特徴を示した。 次年度は予定通り、代謝産物の解析を進め、これらsub-populationとの関連性を調査していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、血清及び尿代謝物の網羅解析の実施及び骨髄細胞の状況把握を計画していた。当該年度はこの計画を遂行したため、本研究課題は予定通り進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
各種専門学会にて情報収集を実施した結果、急性放射線骨髄障害と毒性化合物による影響との比較が必要である指摘を受けた。この情報をもとに本研究課題では、遂行可能な範囲で今後の計画に盛り込んでいく。
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Causes of Carryover |
平成28年度の課題はおおむね順調に進んだものの、骨髄細胞を詳細に解析するために、また、効率的に解析を進めるために各種サンプル条件を揃えたうえで一斉に解析を進めることが望ましい。またその解析試薬は短い使用期限であることからも、解析直前に購入することが望ましい。したがって、平成29年度において得られるサンプルがそろったうえで、試薬購入するため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、メタボロミクス解析に必要な解析試薬及び造血細胞解析に必要な物品・試薬にすべて充てる。
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