2016 Fiscal Year Research-status Report
18F-FDG標識赤血球PETによる生体内血液量の測定法の確立
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16K10362
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中原 理紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10317240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (20370257)
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FDG / 前臨床試験 / 標識赤血球 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
まず18F-FDG標識赤血球の作成における標識効率と安定性の確認を行った。18F-FDG標識赤血球は、ラットから採血および洗浄した溶液を18F-FDG溶液で培養することで得られるが、まずラットから採血した後、生理食塩水で洗浄し、FDGと37℃で培養し、培養時間を変化させて適切な培養時間を調べた。結果、60分間あれば十分標識されることが分かった。 また、標識率を上げるために、糖を含まない生理食塩水内で赤血球を37℃で培養することで標識率を上げることに成功した。これは赤血球内のグルコース濃度を低下させることによって細胞内に取り込まれるFDGの量が増えたことによるものと考えられた。 次に標識された赤血球の安定性を調べるために、3時間の間に細胞外にreleaseされる放射能を調べた。すると1時間で10%程のreleaseがあることが分かった。薄層クロマトグラフィーによってreleaseされた放射能がFDGによるものであることを確認した。これによって完璧に標識された薬剤とは言えなくなったが、画像データを得るために必要な十分な量の放射能が赤血球に残存することを確認した。 さらに、赤血球は抗凝固剤で採血しても試験管内で凝集したり変形することが知られているが、採血や標識作業によって赤血球に形態的な凝集や変形/膨化が無いことを確認した。 以上のin vitroの結果を用いて、実際のラットから採血し、imagingのために標識して生体内に戻し、小動物用PETで撮像を行った。その結果、2時間の撮影の間でも良好なblood poolの画像が得られ、良質なPETによるblood pool imagingを実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
in vitroでの標識効率の最適化、標識後の安定性評価を終えて、in vivo imagingでも安定したblood pool imagingに成功した。さらに疾患モデルとして腹腔内出血モデルを考案し、FDG標識赤血球によって明瞭に腹腔内出血を描出させ、これまでの手法より優れた検査である可能性を提示した。尚、これらの結果をまとめヨーロッパ核医学会の姉妹誌に学術論文として採択され、公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
より標識作業を簡素化して行えるよう実験を重ね、臨床で使えるような効率の良い標識手順を開発、検討中である。 また、今後はさらにヒト赤血球に向けた予備的実験を計画している。ヒトで行うためにはクリーンな環境下での標識作業が必要となり、より精度の高い標識環境の整備と簡素化した手順によって行う必要がある。そのため、クリーン環境の整備のため専門家に相談したり、業者に見積などを行っている。
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Causes of Carryover |
予定されていた海外の学会発表が中止になり、経費として余った。また物品費も予定よりやや下回ったため、当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、ヒト臨床に向けた準備が必要となり、さらなる実験を行う必要があり、その実験のための費用に当てる予定である。
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