2017 Fiscal Year Research-status Report
18F-FDG標識赤血球PETによる生体内血液量の測定法の確立
Project/Area Number |
16K10362
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中原 理紀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10317240)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (20370257)
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 赤血球 / FDG / PET / blood pool imaging / 熱変性 / 脾臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年2月にFDG標識赤血球PETの結果がヨーロッパの核医学専門誌に論文が掲載された。この論文は既に薬学系の学術誌1本に引用されており、その科学的重要性があることが示された。この内容は2017年秋の日本核医学会の総会でポスターで発表した。今後別の研究会でも発表予定である。 2018年1月にはFDG標識赤血球を応用させた、熱変性FDG標識赤血球のPETによる脾臓組織の検出の内容の論文がアメリカの核医学専門誌に掲載された。元々99mTc標識赤血球を熱変性させることで脾臓組織をシンチグラフィで描出する報告が有ったが、PETで熱変性させた赤血球をin vivoで脾臓組織に集積する報告を行ったのは本報告が世界初めてである。これによってこれまで検出が困難であった膵内副脾由来のepidermal cystの微小な脾臓組織を検出し、膵内副脾由来のepidermal cystの確定診断を行ったり、特発性血小板減少症の治療目的の脾摘時に再発の原因となる副脾を術前に明瞭に描出させ完全切除を行うことでその再発を抑制したりすることが可能となる。また、splenosisという腹腔内に散布された脾臓組織が悪性腫瘍の播種と紛らわしく画像診断上、悩ましい所見となりうるが、熱変性FDG標識赤血球PETはそれをsplenosisと確定診断できる。このように様々な応用の可能性をもった熱変性FDG標識赤血球PETは今後の画像診断技術の考え方を一歩進展させる内容を秘めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初はFDG標識赤血球PETの結果が得られることを目標にしていたが、FDG標識赤血球を熱変性させた熱変性FDG標識赤血球のPETを撮像することで脾臓組織をPETで非常に明瞭に描出することを論文として公表できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はさらにヒト赤血球で標識が可能かを検討し、再生赤血球の可視化に応用可能かも検討する。そのためには同時にクリーンな環境で標識することも検討が必要であり、細胞プロセッシング部門との連携も検討中である。
|
Causes of Carryover |
臨床業務の割合が増え、研究の進捗が遅くなったため実験のペースが落ち、研究費の使用頻度がやや低下したため当該助成金が生じた。 翌年度分はさらに赤血球を68Gaで標識するための手法について同様に小動物用PETで評価する手法を考えており、それに対する消耗品費が増える見込みであり、同時にFDG標識赤血球との実験を並行して行っていくため、合計の助成金の適切に利用するような研究計画を立てている。
|
Research Products
(3 results)